2018年05月09日

レゴ世界遺産展探訪10−4

★ アジア編1−4 ★

前回の続き

★ ★ ★ ★ ★

世界遺産展作家に学ぶ
植栽の作り方
(3)

今回は植え込みの作り方について。
ところで、この〈シンガポール植物園〉の植え込みには、
以下の3通りの手法で作られたものが用いられている(写真@※1)。

内訳は左から、
・葉っぱパーツを編んで作ったもの(植栽A)、
・四弁の花パーツで作ったもの(植栽B)、
・1x2プレートで作ったもの(植栽C)の三通り。
()内の名称は、それぞれ便宜上の呼び名である。以後この名で呼ぶ。

〈写真@〉
植栽ABC.jpg
 以上は筆者が手持ちのパーツでこさえたため、
   作品に用いられているものとは色が異なる。

植え込みは、”Bandstand”を中心に
4重の同心円を描くように配置されている。

〈写真A〉
シンガポール1.jpg

植え込みのパターンは、
一番外側は、笹パーツの単純位置によるもの。
続いて外から内に向かって、植栽A、B、Cの順である。

〈写真B〉”Bandstand”向かって左側。
シンガポール3.jpg

〈写真C〉”Bandstand”向かって右側。
シンガポール4.jpg

〈写真D〉植え込みを拡大。
シンガポール5.jpg

では、それぞれ順番にその作り方を見ていこう。

★ ★ ★ ★ ★

〜 植栽Aの作り方 〜

・想像される材料(※2
1x1両側ポッチブロック…1つ(色は任意。但し目立たない色)
1x1ラウンドプレート……1つ(色は任意。但し目立たない色)
葉っぱパーツ(小)…………4枚(色は任意)
 視認した範囲で確認出来るパーツから作り方を解析したため
   見えない部分では材料や個数など多少違っている可能性がある。

〈写真E〉
植栽A1.jpg

この植栽は葉っぱパーツ同士を編み込むことで成る(写真F参照)。
基本的な考え方は以下のとおりである。
黄緑の葉の青丸部分を緑の葉の股に押し込む。
素材自体は柔らかいので、コツさえ掴めばすぐ出来る。

〈写真F〉
植栽A2.jpg

すると、以下のようになる。

〈写真G〉
植栽A3.jpg

これを応用して、四つの葉っぱパーツを互い違いに編み込んで繋げる。
繋げたものが以下の写真Hである。

〈写真H〉
植栽A4.jpg

次に、地面に固定する部分、
所謂、根と幹になる部分だが、
この部分は現場で視認出来なかったので想像である。
おそらく、
1x1両側ポッチブロックに、
1x1ラウンドプレートを貼り付けたものが使われた筈である。
ラウンドプレートの効果は後述する。

〈写真I〉
植栽A5.jpg

これを連ねた葉っぱパーツの一番左の葉に取り付け、
一番右の葉で挟むように取り付ける(写真J、K参照)。

〈写真J〉
植栽A6.jpg

〈写真K〉
植栽A7.jpg

出来上がったものが、以下である。

〈写真L〉斜め上から。
植栽A.jpg

〈写真M〉斜め横から。
植栽A8.jpg

1x1ラウンドプレートを一つ挟んだのは、
植栽の膨らみ具合の調整のためである。
試しに二つ挟んでみたが膨らみすぎて見た目が悪かったので、
やはり、一つが適当だろう。

〈写真N〉真横から。
植栽A9.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

やってみて判ったこととして、

一つ、
これ一つ作っただけではあまり様にならないということ。
写真BCDのように、
いくつか横に連ねた方が、より植え込みらしい雰囲気となるだろう。

二つ、
写真Mのようにこれだけをポツンと置いてしまうと、
足下が寂しい。なにより形状が不自然である。
この作品の場合、外周を笹パーツで埋めたのは、
一つに植え込みの下草の自然な感じを出すため、
そしてもう一つ、この足下の不自然さを隠すのが目的だろう(写真BC参照)。
実際に個人作品に応用するなら、
例えば高さ1ブロック分程度で花壇の縁を作るなどの工作が必要と思われる。

三つ、
編み込んだ葉をトンネル状に丸めて止めただけなので、
写真Nのように片側が大きく開いてしまい、
これが見えてしまうととても興ざめである。
止めた側の面も同様である。
出来ればこうした面を隠すように、
何かしらの構造物をそれらしく配置する必要がある。
この作品の場合は建物の壁だが、
個人作品に応用するなら、街灯や信号機の支柱、高木などといったところか。

     ★ ★ ★ ★ ★

この葉っぱの編み込みの技法は、かなり応用の利く技術で、
面白い作例もいくつかある。が、今回は割愛する。
いずれどこかの機会でまとめたいと思う。

次回は、植栽BとCの作り方。

続く

註※ 写真は全て筆者による。


posted by KM at 08:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月08日

レゴ世界遺産展探訪10−3

★ アジア編1−3 ★

前回の続き

★ ★ ★ ★ ★

世界遺産展作家に学ぶ
植栽の作り方
(2)

〈写真@〉
シンガポール6c.jpg

引き続き〈シンガポール植物園〉から。
この作品には、所謂、藤棚がある。
もっとも、実のところ何の植物のためのものかは判らない。
とにかく蔓性の花木らしい。

棚の作り方に大きく奇を衒ったところはない。
よくあるプラントパーツをあれこれ組み合わせて、
藤棚らしい雰囲気にまとめている。

〈写真A〉
シンガポール6.jpg

しかし、一点注目すべきは、以下の写真の青丸部分。
ここに蔓が這っているのが見える。
見る限りレゴのパーツには見えない。
こんなパーツあったかなと首を傾げたのだが…、あった。

〈写真B〉
シンガポール6b.jpg

この蔓の正体は、これ。
右の輪切りにしたピーマンのようなものがその正体で、
ものは型崩れ防止のための型枠である。
左の3枚葉パーツの葉の縁に沿って巡らしてあり、
本来、使う際に型枠から外してしまえば後は捨てるだけのものである。

それを捨てずにとっておき、
輪の一カ所を切って伸ばして蔓に見立てて這わせたようである。
正確にはパーツとは呼べないものだが、再利用するという発想は面白い。

〈写真C〉
藤棚1.jpg

なお、生憎ながら型枠から外す前の3枚葉パーツの写真はない。
今回は、偶然残していた型枠と合わせて撮影した。
とっておいた理由は、蔓に使うというよりは、
先に喩えたようにそれがピーマンの輪切りに見えたためであり、
いずれ何処かに使えるかもしれないという期待があったためである。

「本来捨てるものでも、ピンと来たら取っておけ!」

そういう直感は大事だ。

     ★ ★ ★ ★ ★

今回は、写真の編集が全く追いついていないのでここまで。
次回は、"Bandstand"周辺の植え込みについて。

続く。

註※ 写真は全て筆者が撮影した。
posted by KM at 08:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月07日

レゴ世界遺産展探訪10−2

★ アジア編1−2 ★

前回の続き。

この作品の凄さは、周囲の植栽の表現にある。

〈写真@〉
シンガポール1.jpg

ここに用いられている技法は、
例えばミニフィグ・スケールのジオラマやビネットにも十分応用できるもので、
知っておいて損の無いものである。
ということで今回は、以下の標題の下にまとめる。

★ ★ ★ ★ ★

世界遺産展作家に学ぶ
植栽の作り方
(1)

改めて、この作品のタイトルは〈シンガポール植物園〉である。
植物園と謳うからには力点を置くべきは、当然ながら植物である。
事実、作者もそちらに重きを置いているようで曰く、
〈群葉のオーガニック感を出すために、「スティッチング」の技術を使って、
レゴの花と茎を組み合わせることで、
木の枝や幹から天蓋のように葉が生い茂っている様子を再現した。〉

とのこと。

何やら特別な技術を用いて、植栽を表現したらしい。
「スティッチング」という技法自体初耳だが、どうやらその技法を使ったものが、
建物を取り囲むように建つ3本の大木のようである。
以下の写真はそのうちの2本を写したものだ。
建物の背後の1本は、作品の背後に回り込んで撮影出来なかったため割愛した。

〈写真A〉四阿に向かって左の木を上から。
シンガポール7.jpg

大木のモデルについて具体的な言及はない。
実際の”Bandstand”の画像を見ると、確かに、
黄色い花(または葉を)つけた木が茂っているのが判る。
最初これを見たとき、花咲くミモザの木だろうかと考えたが、
コメントの内容からして、どうもそうではなく、
単に黄色い葉をした木(※)らしいことが窺える。

※ 読者であるオーロラ様の御指摘により、
  これはイエローレインツリーと判明しました。

  マメ科ネムノキ亜科の常緑高木で、
  学名を”Albizia saman”、和名をモンキーポッドという。
  現在もTVのスポットCMで見られる日立製作所のあの木である。
  そう言えばピンと来る人も多かろう。
  そのうちの葉が黄色くなるタイプのようである。

  情報ありがとうございました。
  <(_ _)>
  2018年05月08日(追記)

〈写真B〉四阿に向かって右の木を上から。
シンガポール7b.jpg

説明を受けた上で作品を見ると、なるほどな、と思う。
スティッチングとは、オーソドックスなフラワーパーツを
そのまま活用して表現する技術らしい。

〈写真C〉上から見た図
シンガポール8.jpg

〈写真D〉下から見た図
シンガポール9.jpg

〈写真E〉側面から見た図
シンガポール9b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

スティッチング(”stitching”)とは、
英語で〈縫う〉を意味する動詞"stitch"の現在分詞で、
一針、ひと縫いといった意味がある。
が、ここではどちらかというと、
コンピュータ・グラフィックにおける専門用語で、
〈3D図形生成において、二つのオブジェクトの縁が合うように繋げる作業、または技法〉の意味に近い印象を受ける。

見よう見まねで再現してみた結果をまとめると、
どうやら、スティッチングとは以下のようなやり方をいうようだ。

     ★ ★ ★ ★ ★

用意するものは、フラワーパーツと茎パーツ。
いずれも旧来からのもので、ビルダーにとってはお馴染みのものである。
個数は任意。多ければ多いほど華やかなものを作ることが出来る。
最近、この手のフラワーパーツや茎がセットに入っているのをあまり見ないが、
レゴストア各店舗の”Pick a brick”(通称PaB)ではよく見かけるので、
安価で大量に仕入れることは難しくない(2018年5月現在)。
事実、今回のサンプルの材料は、PaBで入手した。
もっとも、花の色は白か赤に限られるが。

〈写真F〉
スティッチング1.jpg

このフラワーパーツは、本来、以下のように、
軸から一つずつ手折って挿して使うものだ。

〈写真G〉
花・基本.jpg

しかし、今回は、これを切らずに使う。
ここでは便宜上、パーツが繋がった状態のものをシートと呼ぶ。
とりあえず、3本ある茎の中、任意の一カ所にシートを挿す。
まずは、好きなところに挿すだけである。

〈写真H〉
スティッチング2.jpg

次に、先の茎とは別の茎に、またシートを挿し、
今挿したのプレートの中の一つ花にまた茎を挿し、
その茎にまた別のシートを差し込む。

〈写真I〉
スティッチング3.jpg

差し込む際、少しばかりグッと力をかけて押し込むことになるが、
この時、力をかけすぎて、花を手折らないよう注意する。
こうしたことを形を整えながら繰り返すと、以下のようになる。

〈写真J〉
スティッチング4.jpg

〈写真K〉裏から見るとこんな感じ。
スティッチング5.jpg

〈写真L〉横から見るとこんな感じ。
スティッチング6.jpg

意外にしっかりとしていて簡単には折れそうにない。
もっとも、現段階では量が少ないから問題にならないだけで、
この作品のように大規模なものとなれば、一房がそれなりの重さになるはずである。
長期展示となると、自重で自然と垂れ下がって形が崩れたり、
花の根本でポキンと折れてしまうこともあるだろう。
裏側に支えを入れて形を維持する必要がある。
事実この〈シンガポール植物園〉では、茎の裏側に、
葉っぱパーツ(大)を支えに入れているのが見える(写真D、E参照)。

     ★ ★ ★ ★ ★

このやり方はミニフィグサイズのジオラマでも応用が効く。
例えば以下のように、花を白に変えれば満開の桜を作ることが出来る。
これに使用した白い花と茎は、以前、レゴストアで大量に手に入れたものである。

〈写真M〉
応用・桜1.jpg

あり合わせの材料で手早く作ったもので、植物学的な正確さには欠けるだろうが、
それでもかなりそれらしく出来たのではないか?
桜の花はピンクでなければならない、というのは先入観で、
実際、春の陽差しの下に見えるソメイヨシノの色はかなり白に近いピンクであるが故、
白で割り切ってしまってもあまり違和感はない。

最近、PaBで白い花を殆ど見ないが、代わりに赤い花を見る機会が増えた。
赤い花が、桜のように密に群れて咲く木となると、日本に限って言えば、
例えば、百日紅(サルスベリ)といったところか。
変わったところでは、鳳凰木(ホウオウボク)も出来るだろう。
鳳凰木は、マダガスカル原産の落葉高木だが、
園芸品種として改良され、沖縄の街路樹にも使われている。
花ではないが、見せ方次第では赤く紅葉したモミジに見立てることも出来るかもしれない。

     ★ ★ ★ ★ ★

今回は、ここまで。
この作品には、スティッチング以外にも、
まだまだいろんな植栽作りの技術が潜んでいる。
残りは次回。

続く

註※ 写真は全て筆者による。
posted by KM at 08:00| Comment(2) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。