2018年11月07日

レゴ世界遺産展探訪11

★ アジア編2 ★

19.
『華城(ファソン)』より長安門
作:伊藤剛 / 監修:直江和由


〈画像@〉
수원 화성 장안문
(画像引用元=Wikipedia韓国語版より『水原華城(수원 화성)』 、ウィキメディア経由)
※画像クリックで引用元に遷移。

大韓民国京畿道水原市(キョンギド、スウォン)にある
李氏朝鮮時代(18世紀)の城塞遺跡である。
築城主は、李氏朝鮮第22代国王・正祖。
1794年から二年の歳月をかけて、
父・荘献世子(チャンホンセジャ)の陵墓を取り囲むように建てた城塞だ。
この長安門は、華城の北側にある事実上の正門である。
水原が中国・長安のような華やかな文化都市になることを願って名付けられた、
と言われている。

     ★ ★ ★ ★ ★

特徴としては、まずは屋根の照りだろう。
こうした屋根は、やはり中国の影響と思われるが、
しかし、中国のものは両端の照りが非常に強い。
例えば、東晋王朝時代(4世紀)に創建された
中国仏教の大寺院・江天禅寺(こうてんぜんじ/別名・金山寺)の場合、
大屋根の両端は跳ねるように反り返っている。

〈画像A〉金山寺(中国・江蘇省鎮江市)
镇江 金山寺 - panoramio
(画像引用元=Wikipedia Commonsより、镇江金山寺)
※ 画像クリックで引用元に遷移。

こうした照りに比べて、華城の場合はそこまで極端ではない。

〈画像@再掲〉
수원 화성 장안문
(画像引用元=Wikipedia韓国語版より『水原華城(수원 화성)』 、ウィキメディア経由)
※画像クリックで引用元に遷移。

しかし、日本の社寺にみられる照りに比べると、その傾きは強い。
例えば、奈良時代(8世紀)に創建された東大寺大仏殿の屋根を見ると、
その傾きが比較的緩いことが判る。

〈画像B〉東大寺大仏殿
Tōdai-ji Kon-dō
(画像引用元=Wikipedia日本語版より、東大寺)
※ 画像クリックで引用元に遷移。

華城は、その丁度、間といった感じだろうか。
韓国の社寺建築のもう一つの特徴としては、
屋根の棟にも照りが反映されている点だろう。
中国や日本の場合、多くは棟が水平であるが、韓国の場合は棟にも照りが反映されている。
こうした特徴は、曹渓寺(ソウル市)や仏国寺(慶州市)、仙巌寺(順天市)など、
宗派を問わず見られる特徴である。

     ★ ★ ★ ★ ★

以上のように比べてみると、
社寺建築の技術が、どのように中国から伝播したか垣間見ることが出来る。
そうしたことを踏まえて、改めて作品を鑑賞してみよう。

〈写真@〉
長安門1.jpg

照りの強い屋根、反り返った棟、その特徴がきちんと再現されている。

〈写真A〉
長安門2.jpg

組み方としては、衒いのない王道の積分。
しかし、プレートの組み合わせで細かく調子を変えながら美事に曲線を描き出している。

〈写真B〉
長安門3.jpg

〈写真C〉
長安門4.jpg

続いて、城壁。
それほど奇を衒った感じはしない。

〈写真D〉
長安門5.jpg

楼の下の壁は新灰を基調とする。
側面ポッチつきのブロックをランダムに並べ、タイルを貼ったと思われる。
よくある手法だ。

〈写真E〉
長安門6.jpg

半円状の壁は、ヒンジを使わず、ブロックの組み合わせで曲げているようである。

〈写真F〉
長安門7.jpg

〈写真G〉
長安門8.jpg

…正直なところ、屋根の作りは気になったものの、
城壁の作り方まではちゃんと見ていなかった。
多分、こんな感じで円形を作ったのだろうという漠然とした工作知識で流したのは事実だ。

本音を言えば、個人的には見ていてあまり面白い作品ではなかったというのもある。
そのものが地味というのが一つ。
そして、割とレゴの王道を行く組み方で、目新しさがなかったというのが一つ。
そういう点では、初心者には馴染みやすく、
またレゴの良さを伝えるには最適なのだろう。
が、しかし、物慣れてしまった私には物足りなく思えたのも事実だ。

いずれ、また関西で展示があるだろう。
その時に改めてきちんと確認してみたい。
初心忘るべからず。

註※
写真@〜Gは筆者が撮影した。


ラベル:作例研究
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2018年05月11日

レゴ世界遺産展探訪10−6

★ アジア編1−6 ★

前回の続き

★ ★ ★ ★ ★

世界遺産展作家に学ぶ
植栽の作り方
(5)

前回、前々回と読まれている方は、
〈植栽Cの作り方〉まで読み飛ばして下さい。

〈写真@〉
シンガポール1.jpg

引き続き、植え込みの作り方について。
おさらいとして、この〈シンガポール植物園〉(写真@参照)の植え込みには、
以下の3通りの手法で作られたものが用いられている(写真A※1)。

内訳は左から、
・葉っぱパーツを編んで作ったもの(植栽A)、
・四弁の花パーツで作ったもの(植栽B)、
・1x2プレートで作ったもの(植栽C)の三通り。
()内の名称は、それぞれ便宜上の呼び名である。以後この名で呼ぶ。

〈写真A〉
植栽ABC.jpg
 以上は筆者が手持ちのパーツでこさえたため、
   作品に用いられているものとは色が異なる。

今回は、このうちCについて。

★ ★ ★ ★ ★

〜 植栽Cの作り方 〜

・想像される材料(※2
1x2プレート………………6枚(色は任意。基本は緑系統)
2x2ラウンドプレート……3枚(色は任意。基本は緑系統)
六つ股茎パーツ………………1つ
1x1円筒ブロック…………1個(色は任意。基本は茶色)
 視認した範囲で確認出来るパーツから作り方を解析したため、見えない部分では材料や個数など多少違っている可能性がある。

〈写真B〉
植栽C1.jpg

まず、この植栽に用いられている特殊な技法について。
この植栽には、1x2プレートが用いられているが…、

〈写真C〉
植栽C2.jpg

これを裏返すと、真ん中に芯が中空になっているピンが立っているのが判る。

〈写真D〉
植栽C3.jpg

そのピンの穴に、茎を挿すことが出来る(写真E※3、青矢印参照)。

〈写真E〉※3 緑のパーツ同士で判りにくいので、プレートを黄色に変更。
植栽C4.jpg

結果は以下のとおりである(写真FG参照)。

〈写真F〉
植栽C5.jpg

〈写真G〉
植栽C6.jpg

以上の技術を踏まえて、いよいよ作り方。
茎パーツに幹となる円筒ブロックを挿し、これを持ち手として作業する。

〈写真H〉
植栽C7.jpg

六つ股の茎のうち、下の三本の茎に、ポッチを外側に向けてラウンドプレートを通す。

〈写真I〉
植栽C9.jpg

最終的には以下のような形で収まる。

〈写真J〉
植栽C8.jpg

ラウンドプレートを通した茎の先端に、1x2プレートを挿して止める(写真K参照)。
これを合計3回繰り返すと写真Lのようになる。

〈写真K〉
植栽C10.jpg

〈写真L〉
植栽C11.jpg

最後に、上向きの3本の茎に1x2プレートを挿すと出来上がり。

〈写真M〉
植栽C12.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

やってみて判ったことはいくつかある。

まず一つ、
ミニフィグサイズのジオラマへの応用は難しいのではないかということ。
葉というのは何処かしら丸みを帯びているものである。
とすると、1x2プレートの角が立っているのは違和感を覚える。
造形美としては好き嫌いの分かれるところだろう。

二つ、
むしろ、見立てが最大限に物を言うマイクロビルドの世界には
向いているかもしれない。
その世界ならば、これ一つで常緑広葉樹の大木と見立てることが出来る。

〈写真N〉
植栽C応用1.jpg

使っている材料をオレンジを中心とする暖色でまとめたなら、
落葉広葉樹の大木となる。
写真Nは、黄色とオレンジの1x2プレートを半々、
2x2ラウンドプレートをダークオレンジにして紅葉した木に見立てた。

〈写真O〉
植栽C応用4.jpg

最後に、思いつきで桜に見立ててみた。
1x2プレートを白とピンクを半々(全部白でもいいかもしれない)、
2x2ラウンドプレートは白を使用した。

〈写真P〉
植栽C応用3.jpg

三つ、
逆に、リアルサイズのものを作るときには使えるかもしれない。
その仕上がりは、付け合わせのパセリ、
或いはブロッコリーのような見た目である。
そのままだが、
例えば、レゴで食品サンプルを作るといった特殊造形には向いているだろう。

     ★ ★ ★ ★ ★

以上、この項、終わり。

次回、世界遺産展の話はお休み。
この話題の延長で〈私流、植栽の作り方〉を予定。

註※ 写真は全て筆者による。
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2018年05月10日

レゴ世界遺産展探訪10−5

★ アジア編1−5 ★

前回の続き

★ ★ ★ ★ ★

世界遺産展作家に学ぶ
植栽の作り方
(4)

前回、読まれた方は、
〈植栽Bの作り方〉まで読み飛ばして下さい。

〈写真@〉
シンガポール1.jpg

引き続き、植え込みの作り方について。
おさらいとして、この〈シンガポール植物園〉(写真@参照)の植え込みには、
以下の3通りの手法で作られたものが用いられている(写真A※1)。

内訳は左から、
・葉っぱパーツを編んで作ったもの(植栽A)、
・四弁の花パーツで作ったもの(植栽B)、
・1x2プレートで作ったもの(植栽C)の三通り。
()内の名称は、それぞれ便宜上の呼び名である。以後この名で呼ぶ。

〈写真A〉
植栽ABC.jpg
 以上は筆者が手持ちのパーツでこさえたため、
   作品に用いられているものとは色が異なる。

今回は、このうちBについて。

★ ★ ★ ★ ★

〜 植栽Bの作り方 〜

・想像される材料(※2
六つ股茎パーツ……………………2つ
1x1四弁フラワープレート……13個(色は任意)
1x1円筒ブロック………………1つ(色は任意)
 視認した範囲で確認出来るパーツから作り方を解析したため、見えない部分では材料や個数など多少違っている可能性がある。また、花を黄色にしたのは、その方がより見やすいだろうと判断したのと、そもそもブライトグリーンが10個しか手元になかったためである。

まず1x1円筒ブロックに、
六つ股茎パーツ一つを差し込む。

〈写真B〉
植栽B1.jpg

〈写真C〉
植栽B2.jpg

〈写真D〉
植栽B3.jpg

次に、先ほど一体化したものに、
もう一つの茎パーツを伏せて載せる。

〈写真E〉
植栽B4.jpg

すると以下のようになる。

〈写真F〉
植栽B5.jpg

これに順次、花を付けていく。

〈写真G〉
植栽B6.jpg

基本的には、ポッチを上に向けて茎に挿していくが、
どうしても、そのまま挿したのでは
先に挿したパーツと干渉して上手く留まらなところが出てくるので、
その場合はパーツの天地を逆にして挿し込む。

〈写真H〉
植栽B7.jpg

最後に天辺にプレートを挿して出来上がり。

〈写真I〉
植栽B8.jpg

〈写真J〉
植栽B9.jpg

よく出来ている。
茎同士の接着は出来ないが、
フラワープレート同士が複数箇所で互いにロックしあうので意外に強固である。
少々雑に扱っても二つの茎が分離することはない。

     ★ ★ ★ ★ ★

これは応用が利く。
前回の植栽Aとは異なり、単独でもいろいろ使えそうだ。

〈植物園〉のようにフラワープレートをブライトグリーンにすれば、
ミニフィグスケールの町並みの灌木として用いることが出来る。
マイクロビルドの町並みなら、これ一つで大木が表現できるだろう。

まず応用例として、マイクロビルド向けに、
ミモザ(ギンヨウアカシア)の木を作ってみた。
フラワープレート、ブライトグリーンとイエローを適当な個数混ぜて使用。
木に見えるように、円筒ブロックから1x1コーンに変えて裾広がりにしてみた。
〈写真K〉
植栽B応用5.jpg

ミニフィグスケールの町に話を戻せば、
黄色や赤の花に変え、幹の部分の円筒ブロックの色を
灰色やツヤ消し銀にして店先に並べれば花屋が出来る。

足の部分を円筒ブロックから、1x1穴あきラウンドプレートに変えてやると、
さらに樹高の低い灌木となる。
身の回りでよく見かける植え込みを再現することも可能だ。
応用例として、手持ちのパーツでオオムラサキツツジを作ってみた。
この花は、一般家庭の庭木としては勿論、
公園、或いは歩道と車道の境目の植え込み、高速道路の中央分離帯など、
公私問わず広く栽培されている花木である。

今回はブライトグリーン10個とダークピンク3個で作ったが、
ダークピンクの花はもう少し多くてもいいかもしれない。

〈写真L〉
植栽B応用4.jpg

幹の部分を2x2の樽パーツや"Scala"の植木鉢に変えたら、
假屋崎省吾氏が手がけそうな
大型のフラワーアレンジメント作品に見立てることも出来るだろう。

〈写真M〉
植栽B応用3.jpg

〈写真N〉
植栽B応用1.jpg

〈写真O〉こうすると、トロフィーも巨大な花瓶になる。
植栽B応用2.jpg

こんなやり方もある。
花に短い鎖を二つ「く」の字に繋いで、花に付けてやると、吊しの花かごが出来る。
これを背の高い街灯に吊してやると、それだけでお洒落な街角のシーンが出来る。

〈写真P〉
応用・街灯1.jpg

〈写真Q〉
応用・街灯2.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

但し、少しばかりデメリットもある。
これを大量に作ろうとすると、国内のパーツ屋からの調達では高く付く。
必然、ブリックリンクを使うことになる。

     ★ ★ ★ ★ ★

次回に続く。

註※ 写真は全て筆者による。
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