2020年01月15日

村はずれの古い造船所(1−2)

(前回の続き)

レゴ造船所5.jpg
(筆者撮影)

 1.モデルにする造船所の画像を探す

リアルに作るためには、創作の手掛かりとなる画像がないと始まらない。
とりあえず当初は、国内の中小規模の造船所の画像を探していた。
だが、それもふと思い立って止めた。

イメージに合うものがあれば参考にするつもりでいたが、
どうにもひっかかるものがない。
また、やはり『トタン壁〜』のイメージに強く引っ張られていると感じ、
本当に二番煎じに陥ると思ったためだ。

目先を変えて、国外の造船所を探すことにした。
もっとも、レゴの長所を生かすにはその方が良かったのは事実だ。

造船所も言わば工場なので、そもそも無機質で余計な色のない場所である。
加えて、日本建築の古い木造の建物を添えるとなると、
全体的にモノトーンを基調に、そこに精々、茶系の色が加わる程度で、
非常に地味で渋い仕上がりになることは免れない。

加えて、日本の建物は全体的に色味に乏しく、作っていて面白くないというのもある。
しかもレゴの茶色は、日本の木造建築には明るすぎる色なので、
色味の違いが気になり、次第にやる気が萎えてくるのだ。
焦茶色が日本建築に一番合うのだが、ほとんどパーツのヴァリエーションがない。
もっともっと充実して欲しいところである。レゴ社には、頑張ってもらいたい。

閑話休題。
海外の造船所の画像を探す。
検索に用いたメインのキーワードは、以下の三つだ。

" slipway (=船台)"
" shipyard (=造船所)"
" boatyard (≒造船所)"

これらの名詞に、" old " または " traditional " といった形容詞を付して検索した。
そうでないと、現代の最先端の造船所が優先して表示されるためである。

ちなみに、一般に〈造船所〉は英語で " shipyard " だが、
しかし、この場合はどちらかというと、
大型船舶の造船に関わる施設を指すらしい。
漁船やヨットのような小型船舶の造船に関わる施設の場合は、
”boatyard” と表すことが多いようだ。
もっとも、一般に ”boatyard” の訳は〈艇庫〉であり〈造船所〉という訳はない。
ただ、艇庫の中で船舶の修復やメンテナンスも行うことから、
不文律の慣習で〈造船所〉の意味を持たせているようである。
この辺は、欧米人独特のニュアンスの問題のようで、
普段英語を使わない日本人には判りにくいところである。

またまた閑話休題。
ともかく、その結果、いくつかの造船所の画像がヒットした。
その中で、今回、参考にした造船所は、以下の四つである。

★ ★ ★ ★ ★

マレーグ造船所
( Mallaig Boatyard Ltd )

イギリス/マレーグ


マレーグ( Mallaig )は、スコットランド西海岸、ハイランド地方の漁師町である。
西海岸諸島の観光拠点であり、またウエストハイランド鉄道マレーグ線の終点でもある。
同線は、この町とスコットランド高地の町フォートウィリアムスとを結ぶ路線だが、
イギリスらしい荒涼索漠たるハイランドの山岳地帯と、
白波立つ西海岸の風景を愉しめる観光路線として知られている。
中でも、同区間を走るジャコバイトと呼ばれるSL観光列車が人気だ。
中途にあるグレンフィナン高架橋は、世界的に有名な鉄道写真の撮影ポイントでもあり、
ここで映画『ハリーポッター・シリーズ』のホグワーツ・エクスプレスの撮影が行われた。

マレーグ造船所は、このマーレグの他、近隣のオーバンなどで操業する漁船の
修理・メンテナンスを行っている会社である。
創業は2011年とまだまだ若い会社だが、
施設自体は前身となる別会社から引き継いだもののようで、それなりに造りが古い。
関連する画像で検索すると、ほどよく草臥れた理想的な船台の画像がいくつも見つかった。
(施設の詳細は→ http://www.mallaigboatyard.co.uk/services.php

★ ★ ★ ★ ★

ニウボーア造船所
( WERF Nieuwboer )

オランダ/スパケンブルク


スパケンブルク( Spakenbrug )は、
オランダ、ユトレヒト州の基礎自治体ブンシュホーテン内北部の村である。

かつては、北海に繋がるゾイデル湾に面した漁村であった。
豊かな漁場を前に村は繁栄したが、
しかし、その沿岸一帯は洪水被害に見舞われることが絶えなかった。

19世紀後半以降度々、
北海と湾を断つダム建設の声が上がっていたもののなかなか実現されずにいたが、
1916年に発生した大洪水を受け、いよいよ1919年より、
〈ゾイデル湾開発〉と呼ばれる国を挙げての一大干拓事業が始まった。

1932年にアウシュトラダイク( Afsluitdijk )という大堤防が完成し、
これにより北海と湾は分断され、淡水湖のアイセル湖が出来た。
以降、干拓地の造成が始まった。

1986年、フレヴォラント南干拓地がスパケンブルクの対岸に完成し、
これを機に干拓事業は終了した。
現在、この干拓地は、フレヴォラント州という行政区となっている。

スパケンブルクの漁業は、大堤防完成を機に下り坂となった。
2008年に最後の漁師が廃業し、村は漁村としての使命を終えた。
現在、村の経済は、歴史・文化に基づく観光事業がメインのようである。
ちなみにこの村は、長崎ハウステンボスのモデルとなっている。

     ★ ★ ★ ★ ★

ニウボーア造船所は、オランダ最古の造船所で1675年より操業。
19世紀にニウボーア家が業務を引き継ぎ、1986年まで操業。後、市に全てを売却した。
現在、施設全体が国の登録文化財に指定されているが、造船所として今も稼働している。
ボッター(Botter)と呼ばれるオランダの伝統的な帆走漁船の修復・メンテナンスを中心に、同社が所有するボッターのレンタル、セーリング・クルーズなどの業務を行っている。
(施設の詳細は、https://www.botterwerf.nl/index.html
〈画像@〉
Werf Nieuwboer Spakenburg
〈画像A〉
Werf Nieuwboer Botterloods Spakenburg
〈画像B〉
Werf Nieuwboer Loods Spakenburg
(画像@〜B引用元=Wikipediaオランダ語版より " Werf Nieuwboer " )
※ 画像クリックで引用元に遷移。

〈画像C/ボッター船〉
Bottermetaap
(画像引用元=Wikipediaオランダ語版より " Botter " )
※ 画像クリックで引用元に遷移。
★ ★ ★ ★ ★

ユルク・ボッター財団
( Stichting Urker Botter )

オランダ/ユルク


ユルク( Urk )は、オランダ、フレヴォラント州の基礎自治体である。
アイセル湖に面する町だが、元々はゾイデル湾に浮かぶ島であった。
前出の干拓事業により、フレヴォラント北東干拓地と地続きになり、現在の形となった。

ユルク・ボッター財団は、
文字通り、ユルクにある帆走漁船・ボッターの動態資料館である。
修理・メンテナンスのほか、クルーズ学習などを行っているようだ。
(施設の詳細は→ https://nieuw.urkerbotter.nl/?page_id=1201 )

★ ★ ★ ★ ★

デ・フープ造船所
(Skipstimmerwerf "De Hoop")

オランダ/ウォルクム


ウォルクム( Workum )は、
オランダ、フリースラント州の基礎自治体スードウェスト・フリスランにある町である。
元はゾイデル湾(現、アイセル湖)に面した農村だったが、
内陸の町ニジシエルを起点とするワイメルツ運河の終点であることから、
農作物の一大集荷地となり、やがて海上輸送の需要拠点となった。
14世紀には都市権を有する商業都市に発展したが、今その面影はない。
現在、人口約4400人の小さな歴史都市である。
〈画像D〉
Seburch5 Workum
(画像引用元=Wikipediaオランダ語版より Scheepstimmerwerf "De Hoop")
※ 画像クリックで引用元に遷移。

ソール運河のどん詰まりに建つデ・フープ造船所は、
1693年創業の古い造船所である。
木造商船から蒸気船まで様々船を手がけたが、1923年に操業を停止した。
以後50年あまり、施設は放置されることになる。
76年にズヴォルズマン造船所財団が発足し、デ・フープ造船所の再興に着手。
翌77年に操業を再開した。
現在は、木造船の修復・メンテナンスを中心に請け負っている。
同造船所は、施設全体が国史跡に指定されている。
(施設の詳細は、→ http://werfdehoop.nl/ )

★ ★ ★ ★ ★

これら四つの造船所の中で最も影響を受けたのは、ニウボーア造船所である。
船台とその脇に立つ、イギリス下見板張りの作業小屋が印象的だったからだ。
とはいえそのまま再現するわけではなく、飽くまでこの造船所をイメージの核として、
他所からいろいろなイメージやアイディアを取り入れ、まとめながら作ることにした。

(次回に続く)



posted by KM at 18:00| Comment(0) | 制作日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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