今回仕上げた山鉾は、およそ以下のような形をしている。
〈写真@〉

今回、何処から作るかとなったとき、まず屋根を作るところから始まった。
山鉾の胴回りの装飾をどう表現したらいいのか、
全く妙案が思い浮かばなかったためである。
とりあえず時間がないので、
出来そうなところからどんどん片付けていくという方針で当たることにした結果、
屋根からとなった。
北観音山の照り屋根については、
デンマークの作家、セザール・ソアレス氏の技術を参考にした。
同氏は、ぐにゃりと反り返った屋根を持つ、
今にも崩れそうな中世ヨーロッパ風の家屋を得意とする作家である。
〈写真A〉
セザール・ソアレス作“The Wedgwood House”
出典:flickr、セザール・ソアレス氏のページより
(※ 画像クリックで出典先にリンク)
彼の建築テクニックについては、2015年5月にリリースされた
“Hispabrick Magazine 022”に特集が組まれている。
当該雑誌は文字どおりスペインの同人誌だが、
英語版PDFも配信されているので、
興味のある方は一読されたし。
グラビアだけでも十分楽しめる一冊である。
(詳細はこちら→Hispabrick Magazine 022)
その一部を引用すると、彼の屋根の作り方は、
クリップと取っ手付プレートでこさえたヒンジを細かく用いて反りを作っている。
〈図@〉
(引用元=“Hispabrick Magazine 022”よりP.11から一部抜粋)
この技術を応用し、およそ以下のような骨組みで屋根を作った。
〈図A〉

骨組みが粗方決まると、
破風下の木彫雲鶴の装飾を再現すると同時に破風の装飾も再現する。
屋根、破風、破風下と変な隙間が出来ないようそれぞれ調整しながら作る。
〈写真B〉

破風回りのデザインが固まると、
いよいよ屋根表面をタイルプレート黒で平らに仕上げ、
両端に金の鬼板を置き、網隠しを載せる。
実分の網隠しは赤い布を巻いて作るわけだが、
そうした質感を出すため、曲線パーツや傾斜パーツを駆使し、
なるべく角が出ないよう滑らかに作る。
〈写真C〉

この部分の基本は赤色だがしかし、
それ一色だと平板な印象を与えるので、
ここに少し異なる色のパーツを混ぜ、
布の重なりや折り皺による陰翳を表現する。
この辺りは、絵を描く要領で作業に当たる。
赤い布が作る陰の色は、
概ねダークオレンジからエンジ、焦げ茶を経て黒となる。
今回は、ダークオレンジとエンジぐらいが丁度いい。
網隠しには、金地の左三つ巴の御神紋がかかる故、
ある程度形が出来たところで、
それをパール金の2x2ラウンドタイルで見立てて貼り付け、再現。
最後に、網隠しの頂に真松を立てて完成。
実物の真松は、山鉾の二倍近い高さはあるが、
今回の作品は飽くまでコンテストサイズなので、
制限高30センチに収まるよう作っている。
次回に続く
※写真@BC、及び、図Aは、全て筆者による。
これからもブログの更新を楽しみにしております。
初めまして。
温かいコメント、ありがとうございます!
なかなか定期連載と行かない点が個人的に課題でありますが、引き続きご贔屓いただけると大変嬉しいです。
宜しくお願い致します。
<(_ _)>