ブーム付マストの作り方
今回製作した帆走漁船は、半ばヨールに似たマストの配置となっている。
船首側の背の高いマストをメインマスト、船尾側の背の低いマストをミズンマストと呼び、ブームと呼ばれる可動式の腕木を持っている。これは本来、広げた三角帆の下端を支えるためのものであるが、耐荷重が十分保たれる場合は積み荷の揚げ下げに使うクレーンのアームの機能も果たした。
マストとブームの接合には、グースネック( "gooseneck" )と呼ばれる艤装品が用いられる。これは要は自在継手で、上下左右全方向に機能する。
今回、このブームも再現を試みた。
但し、マストの強度を保ちつつ全方向の可動を試みると、装置が巨大化して非常に不格好な仕上がりになるため、今回は横方向の可動のみに止めた。出来が美しくないのは罪である。
以下、どう再現したか記述する。
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今回の帆走漁船の場合、メインマストは太めでしっかりしたものということで2幅。ミズンマストはメインマストに比べて細いので1幅とした。
まずは構造が簡単なミズンマストのブームから。
材料は以下のとおりである。
〈図@〉
十字軸(長さ2)・・・・・・(数は任意)
十字軸(長さ3)・・・・・・(1本)
cross axle, extension, 2M
(以下、十字エクステ)・・・(色、数は任意)
Beam 1M w/cross axle
(以下、継手)・・・・・・・(色は任意)
作り方はおよそ以下のとおり。
簡単なので作り方に迷うことはないだろうが、念のため製作実演の動画も加えておく。
〈図A〉
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続いてメインマストのブームを作る。
必要なパーツは以下のとおり。左から、
〈図B〉
2 x 2 ラウンドブロック・・・・・(色、数は任意)
2 x 2 穴あきラウンドタイル・・・(3枚、色は任意)
十字軸(長めのもの)・・・・・(1本)
十字エクステ・・・・・・・・・(色、数は任意)
十字軸(長さ2、
新型)・・・・(色、数は任意)
ラウンドブロックはマストに使う。必要な数だけ揃えること。
長めの十字軸はその芯材に使う。フリゲート艦のような大型帆船のマストでブームを用いないものなら、市販の直径3ミリの鉄やプラの丸棒で十分(どうせ外からは見えないので純正品にこだわる必要はない)だが、
ブームを取り付けるなら芯材は十字軸でなければならない。その詳しい理由は後述する。十字軸は最長32ポッチ相当のものがあり、あればそれを使うに越したことはないが、なかなか手に入るものではないので、12 や 10 といった長さのものを継ぎ足して使うしかない。今回、私はそうした。
十字エクステは、ブームに使う。これも必要な数だけ揃えること。
長さ2の十字軸は、ミズンマストの時と同様、エクステ同士の接合に使うのだが、敢えて〈新型〉と断っている点については後で詳述する。
作り方は以下のとおりである。
なお、パーツの色については、図示する上でなるべく見やすくするため色んな色を敢えて使っている。読者が実践する場合は、当然ながらなるべく同じ色で揃えるか、パーツのリリース状況によりどうしても揃わない場合は違和感のない配色を心がけるか、いずれか適宜行うことが望ましい。
〈図C〉
〈図D〉
十字軸長さ2は以下の写真のように二通りの型がある。
左二つが新型、右が旧型だ。
〈写真@〉
新型(要するに現行品)は、それぞれ軸の両端半ポッチ内側に溝が切ってあり一部細くなっている。他の軸にはない独特の形状だ。しかし旧型にはこの溝がなく、その他の長さの軸と同形である。
軸が新型でなければならないのは、その細くなった部分がなければタイルの窪みに咬ませることが出来ないからである。
〈図D〉について、
何故、断面が "X" でなければならないかというと、"+" で挟むときちんタイルで挟んで閉じることが出来ないからである。詳しくは以下の動画を参照されたし。
芯材に直径3ミリの丸棒が使えない理由は、以下の動画を見て欲しい。
要は、穴あきタイルに対して芯が細いため、余計な遊びの部分が出来てしまうのである。従って、そのまま作ってしまうと、以下のようになってしまう。
以上のことを踏まえて、製作を実演すると以下のような仕上がりになる。
もっとも、この方法はイレギュラーな組み方なので、地面に対してきちんと水平に固定することは難しい。水平にする場合は、索具で吊るしか方法はない。
また、マストとプームの接合部分だが、半ポッチほど十字軸が露出した状態になる。十字軸長さ2の現行品は殆ど赤なので、地色が気になる場合は、ハーフブッシュを軸にはめることで8割ほど覆い隠すことが出来る。完全に覆い隠すことは出来ないので、それでも地色が気になるようであるなら、黒の軸を使用するといいだろう。
新型へ移行した当初は長さ2の軸も黒だった。しばらくリリースされていたから、ブリリンなどばら売りパーツ専門店で手に入れることはそれほど難しくはないだろう。
以上、今回はここまで。
(次回に続く)
※ 図@〜Dは、LDDを用い筆者が作図した。
また、YouTubeに公開した動画はすべて自作である。