前回の続き。
今回は、首里城の建具等について。
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首里城正殿側面の破風の妻面には、
妻格子(つまごうし)と呼ばれる飾りが施されている。
文字通り、妻壁に枡形の格子を隙間なく並べた装飾で、社寺や城郭などに見られるものだ。
それをこの作者は、ライトブロックの裏側を使って表現している。
〈写真@〉

〈図@〉

ライトブロックの本来の使い方は、
車や鉄道車輌のライトに使うのが一般的だ。
しかし、このパーツを裏にすると、正方形に口が開いていることが判る。
この形状を生かして、建物の窓に見立てることは珍しくない。
後で取り上げるマイクロビルドでは当然のように使う技だが、
ここではこれを積んで並べて妻格子に見立てている。
〈図A〉

このライトブロックを使った格子の表現は、他に、
二層目の格子窓、初層下部の蔀(しとみ)などに活用されている。
蔀の作り方に関しては、前々回の金閣を参考にするのもいいだろう。
(参照=レゴ世界遺産展探訪3 )

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建具でもう一つの注目点は、正面中央の遣戸(やりど)とその上の格子窓。
まず、遣戸とは、人の出入り、換気、時に間仕切りなどの目的で建物の外周に設える引き違いの板戸のことである。
中でも、舞良子(まいらこ)と呼ばれる細い横桟を等間隔に密に組んで貼り付けたものを舞良戸(まいらど)という。寝殿造や社寺建築などによく見られる建具である。
首里城の舞良戸だが、実物はおそらく桟は黒漆、板は丹塗りと思われる。
〈画像@〉

(画像引用元=Google Map より『首里城』)
こうした線の細い桟を持つ建具をどう作るのかはなかなか悩ましい問題である。
横桟は積分で解決できるとしても、縦の細い桟は難しい。
作者はそれをこのように表現している。
〈写真A〉

多少違いはあるだろうが、およそ以下のように作ったのだろう。
〈図B〉

真ん中の舞良戸2枚は単純積分だが、それぞれ1x3ではなく2x3で作る。
裏に側面ポッチブロック(黄色部分)を積むためである。
縦の細い桟は、2x2タイル黒をその側面ポッチに貼り付ければ完成。
左右両端の戸は、2x2バー付プレートのバーに1x1クリップ付プレートを噛ませ、
中央の戸に寄せて固定(取り付け位置は〈図B〉の黄色のクリップ参照)。
戸の下はタイルなのでポッチ同士の接続はない。
〈図B〉の左端、黄色の1x1タイルの上を見ると判るが、
横組みされた2x2タイルと接するため、両端の戸はそれぞれ1プレート分外にはみ出ることになる。
しかし、この部分は赤い円柱で隠れるため外からは見えない。
〈図C〉裏から見る。左右両端の戸を固定するクリップは下部だけでなく、上部にもあるかもしれない。

〈図D〉完成形。

戸の上の格子窓は、先の舞良戸とは逆で細かい縦桟が並び、間に細い横桟が一本入る。
ここは〈図E〉のように、横組みで解決する。
黄色の両側面ポッチブロックから横向きに2x2プレート赤と黒を交互に積んで並べると縦桟が出来る。
〈図E〉

〈図F〉横桟は、横組みした部分の裏側に1x6ブロックを二つ積み、2x2タイル(青に着色した部分)を並べる。この部分が外から見ると横桟となる。

〈図G〉完成形。

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二回に亘って連載した首里城の項は、ひとまずこれでお仕舞い。
次回に続く。
註※ 写真@Aは筆者撮影。図@〜Gは、LDDを用い筆者が作図した。