2020年01月23日

村はずれの古い造船所(2−4)

(前回の続き)

 追記

ところで、今回のコンテストは、〈帆やロープに限り非純正でも可〉という条件だったので、作品にはこうした三種類の刺繍糸を使用した。いずれもDMC刺繍糸のサイズ #5 である。おそらく何処の手芸専門店でも手に入るのではないか? ちなみに筆者は手芸・クラフト専門店であるユザワヤで手に入れた。フランス製で色合いがとても良い。カラー・ヴァリエーションも豊富で、購入時はどれにするか目移りした。

〈写真@/筆者撮影〉
刺繍糸.jpg

上から、カラー番号 437 は、少し暗めのブロンドカラーで、これは帆走漁船の荷捌きや網の巻き上げに使う引き綱として使用した。その色合いにケミカル素材のワイヤーロープが想起されたので購入した。

カラー番号 407 は、カフェ・オレ色を薄めたような色であるが、これは帆走漁船の索具に使用した。風雨に薄汚れたロープを想起したので購入した。茶色のマストとも色の親和がよく、張ってみて我ながらいい色を選択したものだと思った。

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カラー番号 310 は、黒。これは、小型トロール漁船の索具に使用した。飽くまで作品のメインは帆走漁船の方なので、こちらはあまり目立たないようにする目的で黒にした。

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以下、商品リンクを貼付する。
素材は綿 100% だが、絹のような光沢があるので、カラーサンプルと商品は若干違いがあるのでご注意。


(次回に続く)


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2020年01月22日

村はずれの古い造船所(2−3)


 2.小型トロール漁船

当初の予定では、船舶は、先の帆走形式のカッター漁船一隻だけの予定であったが、組み始めてからもう一隻あった方が絵になるなと思い、急遽、作ることにした。当然、新たなモデルを探すことになる。
大きなものを作る時間はないので、小型の可愛らしいものを…、ということで画像検索した結果、下の画像に目が留まった(画像@参照)。Flickr にアップされていたダヴィッド・メレット( "David Merrett" )氏撮影の漁船である。

味わい深く草臥れた佇まいの小型トロール漁船だ。捨てられたのだろうか? その後ろ姿は、砂浜にぽつねんと物悲しい。心惹かれるものがあったので、モデルはこれだと決めた。
船舶番号 " IH311 " 、船の名は『シルヴァー・ハーヴェスト( ”Silver Harvest” )』号というらしい。
他に参考資料となるカットはないものか、と氏のアルバム内部を探したが見つからない。彼が付けたタグから画像を探すと、彼以外の撮影者の画像がいろいろ出てきて全体像が把握できたのでひとまずよしとする。

〈画像@〉
Fishing Boat Silver Harvest

念のため、キャプションからイギリス・サフォーク州オールドバラで撮影されたものと判明したので同地の画像を探してみたが、程なくいくつもこの船の画像が見つかった。
最初は砂浜に放置された船の廃墟と思っていたのだが、そうではないようだ。
イギリスでは、しばしば漁船を砂浜に直接乗り付ける。遠浅の砂浜は潮が引くと地面が露出し、当然船が至るところに直に転がることになる。その様はまるで、子供がお風呂のオモチャを洗い場に散らかしたかのようだ。先の写真もそのような時間に撮影したのだろう。そうした場所は、ヘイスティングスやコーンウォール、ドーヴァー、ウェールズなど至るところにあり、このオールドバラの海岸も一部そのような場所であるらしい。

この『シルヴァー・ハーヴェスト』号は、農業から漁業まで幅広く手がけるシンパー家が所有している現役の漁船である。近海で、エビや貝、ロブスターやカレイ、ヒラメなどを獲って卸しているという。

〈画像A/『シルヴァー・ハーヴェスト』号さんの Twitter より〉


この船をモデルに製作したのが、以下の作品である。

     ★ ★ ★ ★ ★

もっとも、完全再現というよりは、要素を拝借、デフォルメしたオリジナルである。パーツの形状の制約から、実物に比べ幾分寸詰まった感じではあるが、いい仕上がりになったと思う。

船のボディは、十数年前にリリースされた『ジャック・ストーン』海賊シリーズの手こぎボートである。大味なパーツで使いどころが無く、長らく引き出しの奥で眠っていたが、今回ようやく出番となった。ボディの妙に安っぽい感じがまたいい。

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船底にも手を加えている。
この手の一体成形のボートは青いプレートの上に置けば着水しているように見えるのでそれで構わないのだが、陸に引き揚げた設定で使うと底が真っ平らで喫水線もないため今一つリアルさに欠ける。そこで、赤をベースに船底付着物のウェザリングを施し、嵩上げした。船底が出来たことで少しはリアルになったのではないかと思う。

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屋根の上には、警笛の他、GPS、Xバンド、VHF、漁業無線などアンテナ各種。
個人的には黒い三つ足のXバンド・レーダーの出来に満足している。

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キャビン内部。
前回の漁船に比べ内部が非常に狭いため簡素である。魚群探知機のディスプレイや無線機器などを配置して、出来る範囲で盛りたかったが、完成がコンテスト締め切り間際だったため泣く泣く割愛した。メーターと舵輪のみ配置。舵輪は、スピチャン・シリーズのホイルキャップのうち、スポークが5本のものを使用した。

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現代の漁船でも、スパンカー( "spanker" )と呼ばれる帆を船尾に装備しているものがある。船を風に対して立てるためのもので、特に日本では沖合での〈流し釣り〉でお馴染みのものらしい。ヤマハ曰く〈流し釣り〉とは、〈沖の根など水深50mから100mのポイントで、ボートの船位を維持し効果的に流していきながら根魚などをターゲットとする、最も一般的な船釣り方法です。日本の食卓に上がるタイやヒラメなど多種多様な魚が狙えます〉とのこと(引用元→ヤマハ発動機・マリン製品ホーム )。

しかし、現代ヨーロッパでは殆ど廃れているようで、"fishing boat, spanker" で検索してもひっかかるものは殆ど無かった。ちなみに、『シルヴァー・ハーヴェスト』号も、2019年のシーズン前(3月頃?)に撤去してまったようである。
今回は、改修前の画像を参考に門形クレーンとスパンカーを設け、索具を張った。

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     ★ ★ ★ ★ ★

以上、今回はここまで。
(次回に続く)
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2020年01月21日

村はずれの古い造船所(2−2)


ブーム付マストの作り方

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今回製作した帆走漁船は、半ばヨールに似たマストの配置となっている。
船首側の背の高いマストをメインマスト、船尾側の背の低いマストをミズンマストと呼び、ブームと呼ばれる可動式の腕木を持っている。これは本来、広げた三角帆の下端を支えるためのものであるが、耐荷重が十分保たれる場合は積み荷の揚げ下げに使うクレーンのアームの機能も果たした。
マストとブームの接合には、グースネック( "gooseneck" )と呼ばれる艤装品が用いられる。これは要は自在継手で、上下左右全方向に機能する。

今回、このブームも再現を試みた。
但し、マストの強度を保ちつつ全方向の可動を試みると、装置が巨大化して非常に不格好な仕上がりになるため、今回は横方向の可動のみに止めた。出来が美しくないのは罪である。
以下、どう再現したか記述する。

     ★ ★ ★ ★ ★

今回の帆走漁船の場合、メインマストは太めでしっかりしたものということで2幅。ミズンマストはメインマストに比べて細いので1幅とした。
まずは構造が簡単なミズンマストのブームから。

材料は以下のとおりである。

〈図@〉
ミズンマスト作り方.jpg


十字軸(長さ2)・・・・・・(数は任意)
十字軸(長さ3)・・・・・・(1本)
cross axle, extension, 2M
(以下、十字エクステ)・・・(色、数は任意)
Beam 1M w/cross axle
(以下、継手)・・・・・・・(色は任意)

作り方はおよそ以下のとおり。
簡単なので作り方に迷うことはないだろうが、念のため製作実演の動画も加えておく。

〈図A〉
ミズンマスト作り方2.jpg




     ★ ★ ★ ★ ★

続いてメインマストのブームを作る。
必要なパーツは以下のとおり。左から、

〈図B〉
マスト作り方3.jpg


2 x 2 ラウンドブロック・・・・・(色、数は任意)
2 x 2 穴あきラウンドタイル・・・(3枚、色は任意)
十字軸(長めのもの)・・・・・(1本)
十字エクステ・・・・・・・・・(色、数は任意)
十字軸(長さ2、新型)・・・・(色、数は任意)

ラウンドブロックはマストに使う。必要な数だけ揃えること。
長めの十字軸はその芯材に使う。フリゲート艦のような大型帆船のマストでブームを用いないものなら、市販の直径3ミリの鉄やプラの丸棒で十分(どうせ外からは見えないので純正品にこだわる必要はない)だが、ブームを取り付けるなら芯材は十字軸でなければならない。その詳しい理由は後述する。十字軸は最長32ポッチ相当のものがあり、あればそれを使うに越したことはないが、なかなか手に入るものではないので、12 や 10 といった長さのものを継ぎ足して使うしかない。今回、私はそうした。

十字エクステは、ブームに使う。これも必要な数だけ揃えること。
長さ2の十字軸は、ミズンマストの時と同様、エクステ同士の接合に使うのだが、敢えて〈新型〉と断っている点については後で詳述する。

作り方は以下のとおりである。
なお、パーツの色については、図示する上でなるべく見やすくするため色んな色を敢えて使っている。読者が実践する場合は、当然ながらなるべく同じ色で揃えるか、パーツのリリース状況によりどうしても揃わない場合は違和感のない配色を心がけるか、いずれか適宜行うことが望ましい。

〈図C〉
マスト作り方1.jpg

〈図D〉
マスト作り方2.jpg

十字軸長さ2は以下の写真のように二通りの型がある。
左二つが新型、右が旧型だ。
〈写真@〉
IMG_E6487.JPG

新型(要するに現行品)は、それぞれ軸の両端半ポッチ内側に溝が切ってあり一部細くなっている。他の軸にはない独特の形状だ。しかし旧型にはこの溝がなく、その他の長さの軸と同形である。
軸が新型でなければならないのは、その細くなった部分がなければタイルの窪みに咬ませることが出来ないからである。
〈図D〉について、
何故、断面が "X" でなければならないかというと、"+" で挟むときちんタイルで挟んで閉じることが出来ないからである。詳しくは以下の動画を参照されたし。



芯材に直径3ミリの丸棒が使えない理由は、以下の動画を見て欲しい。



要は、穴あきタイルに対して芯が細いため、余計な遊びの部分が出来てしまうのである。従って、そのまま作ってしまうと、以下のようになってしまう。



以上のことを踏まえて、製作を実演すると以下のような仕上がりになる。


もっとも、この方法はイレギュラーな組み方なので、地面に対してきちんと水平に固定することは難しい。水平にする場合は、索具で吊るしか方法はない。

また、マストとプームの接合部分だが、半ポッチほど十字軸が露出した状態になる。十字軸長さ2の現行品は殆ど赤なので、地色が気になる場合は、ハーフブッシュを軸にはめることで8割ほど覆い隠すことが出来る。完全に覆い隠すことは出来ないので、それでも地色が気になるようであるなら、黒の軸を使用するといいだろう。

新型へ移行した当初は長さ2の軸も黒だった。しばらくリリースされていたから、ブリリンなどばら売りパーツ専門店で手に入れることはそれほど難しくはないだろう。

以上、今回はここまで。
(次回に続く)

※ 図@〜Dは、LDDを用い筆者が作図した。
また、YouTubeに公開した動画はすべて自作である。
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