2018年11月14日

レゴ世界遺産展探訪14−2

★ アジア編5−2 ★

前回の続き。

まずは全体から。
非常によくできている。

合掌する手のように、滑らかに反り上がる多層屋根には金色の鴟尾に似た装飾が輝く。
白壁には金のレリーフがあちらこちらにあしらわれ、目映いばかりだ。
二層の土台の白さが清々しく眩しい。
ルアン・パバーン様式と呼ばれる伝統的なスタイルを取り入れた建築らしい。
国宝を祀るに相応しい豪壮華麗な建物である。
その特徴をよく捉え、再現していると思う。

〈写真@〉
ルアン・パバーン3.jpg

側面の窓の装飾も細かい。

〈写真A〉
ルアン・パバーン2.jpg

作品の展示位置の関係で裏側をしっかり見ることは難しかったが、手抜きはない。

〈写真B〉
ルアン・パバーン18.jpg

庇を幾層にも重ねたような独特の形式の屋根である。
実際には、表面を板で葺いているようだ。
ここは単純な積分で作っている。スタッドを残しているのは、その質感を出すために敢えて残しているのだろう。

鴟尾のようなものは、おそらくチョーファーだろう。
チョーファーとは、特にタイ式仏教建築に見られる独特の装飾である。
一般には、ガルーダ(迦楼羅天/かるらてん)の羽を象ったものと言われている。
ガルーダは、インド・ヒンドゥー教神話に登場する鳥頭人身有翼の神であるが、しばしば、鷲のような大型の猛禽類に似た姿でも描かれる。主食は、蛇(ナーガ)である。
仏教において、〈毒蛇〉は煩悩や嵐のメタファーであることから、これを食らうガルーダは、煩悩を滅し風雨を退ける守護神と理解されている。また毒蛇そのものの被害から人々を守る蛇除けの神としても崇められている。
その羽が、屋根の棟の上やそれぞれの四隅に配置されている。
これを金の爪で再現している。

屋根の端の白く盛ってある部分は、バイラカーと呼ばれるもので、これもタイ式仏教建築の特徴である。
ガルーダの翼とナーガの鱗を表しているらしい。
ガルーダは、しばしば、ナーガを踏みつけにしている姿でも描かれるので、これも魔除けの意味があるのだろう。
ラオスとタイは、古くから関係が深いので、こうした特徴が受け継がれているものと考えられる。

〈写真C〉
ルアン・パバーン4.jpg

棟の真ん中には、金の装飾が施してある。まるで王冠のようだ。

〈写真D〉
ルアン・パバーン5.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

続いて、土台側面。
装飾がシンプルながら美しい。
1x2三本爪付プレートを並べて装飾しているが、いかにも東南アジアという感じが滲み出ている。

〈写真E〉
ルアン・パバーン6.jpg

中央に切られた出入り口の軒庇の造りが面白い。
金色のバールを組み合わせて、屋根に見立てている。

〈写真F〉
ルアン・パバーン8.jpg

それにしても、この部分、どうやって作ったのだろう?(写真G、青丸内参照)。
これを書くに辺り、写真を拡大してみてようやく気づいた細かい細工である。
最下層の土台部分は、どの面も全体的に半ポッチ分はみ出すように作られている。
この出入り口部分だけ、1x2レール付プレートで面が揃うように調整が施されているが、問題はその上の部分。
丸棒を噛ましてあるのが判る。これは、レール付プレートに2x2ジャンパープレートを重ねることで出来る1プレート分の隙間を埋めるための措置だとまでは判るのだが、どうやって取り付けたのか全く判らない。

〈写真G〉
ルアン・パバーン7.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

続いて、建物正面。

作者曰く、バリエーションの少ないパール・ゴールドのパーツを駆使し自分の限界に挑戦したという。
コメントのとおり力作だ。
実際の画像と比べてみると、完全再現とまでは行かないまでもよくここまで実物に寄せたなと思う。

この正面妻壁の装飾は、
実物では大きく4つのレリーフから成る。
細かくて見にくいのだが、左から釈迦出奔図(おそらく旅立ちのシーンと思われる)、中央下部に釈迦説法図、右に釈迦涅槃図。そして中央上部に、おそらく天上の釈尊を描いたと思われる図が彫刻されている。

〈写真H〉
ルアン・パバーン13.jpg

〈画像〉
Luang Prabang-Wat Ho Pha Bang-04-gje
(画像引用元=Wikimedia commnsより、"Luang Prabang-Wat Ho Pha Bang")
※ 画像クリックで引用元に遷移。

〈写真I〉
ルアン・パバーン11.jpg

この部分をどう見るだろうか(写真J、K青丸部分)?
中央下部の装飾である。
先に書いたとおり、実際の建物では、この部分に釈迦説法図のレリーフが施されている。
蓮の台(うてな)に、光輪を背負ったクメール風の釈尊が半跏趺坐(はんかふざ)の姿勢で坐している。
左に三人、右に二人。細かく見ると、二頭の鹿も見える。

〈写真J〉
ルアン・パバーン14.jpg

はじめ、金の1x1ラウンドタイルが頭、逆さに取り付けた斧の頭が上半身で、その真ん中の膨らみが手、金の爪が半跏趺坐の足に見えた。
実際の釈尊よりかなり大きいが単に強調しただけかもしれない。
しかし、足と見立てた部分は、もしかすると、左右の弟子達の姿とも見える。
いや、そもそも頭は他のパーツと同じ平面に並んでいて浮き出ていない。金の爪もアーチの再現かとも思い直すと、単に、説法図の部分のごちゃごちゃとした感じを斧の頭にまとめただけかもしれない。
どう見るかでいろいろ見え方の変わる不思議な見立てである。
読者諸氏は、これをどう見るだろうか?

〈写真K〉
ルアン・パバーン12.jpg

見えにくい内部もとても凝っている。

〈写真L〉
ルアン・パバーン16.jpg

〈写真M〉
ルアン・パバーン19.jpg

正面両脇の扉の装飾も細かい。

〈写真N〉
ルアン・パバーン17.jpg

軒下の柵の作り方が面白い。
クロムゴールドのスキーのストックは、確かCREATORシリーズの大箱『ビックベン』に大量に入っていた筈。

〈写真O〉
ルアン・パバーン10.jpg

その柵をLDDで作図したものが、図@。
それを展開したものが、その下の図Aである。
これはいろいろ使えそうな技である。

〈図@〉
パバーン柵1.jpg

〈図A〉
パバーン柵2.jpg


階段の装飾が美しい。

〈写真P〉
ルアン・パバーン9.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

最後に、少しだけ毒を。
非常によくできている。
しかし、それだけに建物下のこの変な隙間が非常に気になる。
本当にこんな隙間があるのだろうか?

ルアン・パバーン20.jpg

調べてみると、案の定、そんな隙間はなかった。
どうにかならなかったのか? いやその腕があるなら何とかなっただろう。
そこが実に惜しい。
私なら、こんな隙間は絶対に作らない。
そこがちょっと残念ではあるが、しかし眼福には違いない。


註※
写真@〜Pは筆者が撮影した。
図@Aは、LDDを用い筆者が作図した。


posted by KM at 08:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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