2018年03月22日

レゴ世界遺産展探訪3

★ 日本編 3 ★

前回の続き、
今回は故・直江和由氏の三作品より主に屋根の造作を中心に。
これらの作品について言えることは、どれも特に奇を衒ったところはない。
王道を行く造作と言うべきか、極めてシンプルな組み方で出来ている。
寺社建築、町家などを手がけようと考えている建物ビルダー初心者は、
いい参考になるかもしれない。

★ ★ ★ ★ ★

3.
『古都京都の文化財』より
鹿苑寺金閣
作:直江和由

〈画像@〉
Kinkakuji 2004-09-21
(画像引用元=Wikipedia日本語版より『鹿苑寺』、ウィキメディア経由)
※画像クリックで引用元に遷移。

鹿苑寺は、応永4年(1397年)創建。
京都市北区にある臨済宗相国寺派の寺である。
もともとは、室町幕府第三代将軍・足利義満公の山荘として開かれ、
その死後、彼の遺言により禅寺となった。

金閣とは通称で、正確には舎利殿(ブッダの遺骨、またはその代用品〈例として、
その遺骨が収められたストゥーパの前で浄められた貴石など〉を収めた建物)と呼ばれる。
昭和25年(1950年)、同寺の修行僧の放火により焼失。
現在の金閣は、昭和30年(1955年)に再建されたもの。

〈写真@〉
金閣寺1.jpg

実際の建物について、
屋根は、柿葺き(こけらぶき)、方形造(ほうぎょうづくり/宝形とも書く)。
組物は、柱上のみ。垂木は疎に配置されているため、
野地板(屋根の下地となる板)が目立つ。
建物の造作自体は簡素だが、
これらすべてに金箔が隙間なく貼られているため、見た目は華美である。

作品を下から覗くと判るが、
直江氏は、これをプレートの積分で表現している。

〈写真A〉
金閣寺2.jpg

〈写真B〉
金閣寺3.jpg

方形屋根の四隅は軽くめくれ上がっているが、
これもプレートの積分で表現。
やはり、この規模のものとなると単純な積分で対処するのが楽だろう。

この作品で一つ注目すべき点は、蔀(しとみ)の作り方。
大学受験の古文必修単語であるため知っている人も多かろう。
蔀とは、桟を格子状に組み裏に布や板を張った戸である。長押に蝶番で固定されており、開放するときは戸を引き上げて吊金具などにひっかけて用いる。
〈画像A〉
G322-HR07-14
(画像引用元=Wikipedia日本語版より『蔀』、ウィキメディア経由)
※画像クリックで引用元に遷移。

直江氏は、この蔀を以下のように表現している。

〈写真C〉以下の二枚は初層部分。
金閣寺・蔀1.jpg
〈写真D〉
金閣寺・蔀2.jpg

〈写真E〉二層目の一隅。
金閣寺・蔀3.jpg

これらの蔀はいずれも、1x1プレートの裏面を利用して再現している。
〈図@〉
蔀1.jpg
1x1プレートを並べ、
任意の大きさのプレートに貼り付け裏返して立てると、蔀が出来る。
〈図A〉
蔀2.jpg

このやり方は、蔀の他、格子状の壁面装飾にも応用できる。
特に和建築は格子を多用するので覚えておくといい技である。

★ ★ ★ ★ ★

4.
『平泉‐仏国土を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群』より
中尊寺金色堂
作:直江和由

〈写真F〉
中尊寺金色堂・実物.jpg

岩手県西磐井郡平泉町にある天台宗の寺。
諸説あるが伝承によると、創建は嘉祥3年(850年)、慈覚大師による。
金色堂は平安後期、天治元年(1124年)、奥州藤原氏初代当主・清衡(きよひら)により
建立された阿弥陀堂だ。
その頃、浄土信仰の隆盛により日本各地に阿弥陀堂が造営されたが、
これもそのうちの一つである。
延暦寺常行堂の造りをモデルとした、一間四面の典型的な阿弥陀堂建築である。

内陣には、本尊である阿弥陀三尊像を含む11体の仏像の他、
清衡、基衡(もとひら)、秀衡(ひでひら)と三代に亘るミイラ、
及び、四代当主・泰衡(やすひら)の首が祀られていることで知られている。

建物は、現在、全体をすっぽりと覆う鉄筋コンクリート造りの覆堂(ふくどう)に
収められている。覆堂内部は巨大なガラス張りのケースになっており、
金色の堂宇はその中で一定の温度・湿度のもと管理されている。

屋根は、鳥が翼を広げたような優美な照りを伴う方形造。
本瓦形板葺きだが、これは文字通り、
瓦形にカットした板を並べて屋根としたもので国内でも珍しい。

〈写真G〉
中尊寺金色堂1.jpg

〈写真H〉
中尊寺金色堂2.jpg

方形屋根を支える骨組みは、二軒繁垂木(ふたのきしげたるき)。
これをプレートの積分で表現。
さすがにこの規模でやると、垂木の線が美しい。
古典音楽の旋律に似た精密な美しさがある。

〈写真I〉
中尊寺金色堂3.jpg

屋根もまた、プレートの積分による。
先の金閣は単純積分のみであったが、
こちらは隅棟(すみむね/屋根面同士が山折りに接している部分、降棟〈くだりむね〉とも)に熨斗瓦(のしがわら)と冠瓦(かんむりがわら)が葺いてある。

★ ★ ★ ★ ★

5.
『法隆寺地域の仏教建造物』より
法隆寺五重塔
作:直江和由

〈画像B〉
Horyu-ji48n4350
(画像引用元=Wikipedia日本語版より『法隆寺』、ウィキメディア経由)
※画像クリックで引用元に遷移。

聖徳宗総本山法隆寺は、言わずと知れた奈良の名刹である。
創建は、推古天皇15年(607年)頃。
五重塔は、その西院伽藍に建つ塔で、
現存木造五重塔としては世界最古のものである。

〈写真J〉
法隆寺1.jpg

こちらの屋根の造りは、単純積分ではなく、
ヒンジとウィングプレートを活用して造っている。
このやり方で屋根を組む場合、傾斜面同士の辻褄合わせが難しい。
傾きに合ったウィングプレートはなかなかないので、
傾き次第ではどうしても不自然な隙間が出来てしまう。
これが目立つと見た目が非常に汚らしいので、
隅棟(すみむね)を設えて上手く隠す必要がある。
この処理の仕方も見ておくべき点である。

先の金色堂、前回の東照宮、前々回の金剛峯寺のほか、
隅棟のある屋根をもつ建物が会場内にいくつかあるが、
それらの作り方を個別に比較して見るのも面白ろかろう。

〈写真K〉
法隆寺2.jpg

下から覗く。
繁垂木、柱から延びる尾垂木(おだるき)、雲肘木(くもひじき)の組物など、
地味だが見所は多い。

次回に続く。

註※ 写真@〜Kは、全て筆者が撮影した。図@Aは、筆者がLDDで作図した。


posted by KM at 02:16| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。