2018年04月24日

レゴ世界遺産展探訪7−4

★ 日本編 7−4 ★
前回の続き。

では、答え合わせ。
大澤氏が勤める『レゴランド・ディスカバリー・センター東京』のFacebookページに、
『世界遺産・国立西洋美術館ができるまで』という動画が掲載されている。
ここで、一通り内部構造を見ることが出来る。
今回は、この動画を解析しながら考える。

〈キャプチャ@〉
大澤動画1.jpg
(引用元=Legoland Discovery Center Tokyo(レゴランド・ディスカバリー・センター/東京)のFacebookページより、動画『世界遺産・国立西洋美術館ができるまで』)(※ 動画をご覧になりたい方は、上記引用元をクリックまたはタップで遷移。)

但し、タイムラプス撮影された動画なので、1秒もせずに手順がドンドン進んでいく。
個人的に細かく解析したいという方は、パソコンで画質を1080pで固定し、
こまめに停止ボタンを押しながら観ることをお勧めする。

     ★ ★ ★ ★ ★

まず驚いたのが、実は内部をちゃんと作っていたということ。
真ん中当たりの四角い空間が常設展示室一階部分、19世紀ホール。
画面右側の空間がカフェレストラン・すいれん。
常設展示室の外周は実際、黒い壁で、青い部分はトイレのドアだ。

〈キャプチャA〉
大澤動画4b.jpg

美術館の中には鉄筋コンクリートの正円柱が無数にある。
これらの柱は、いずれも姫小松の板を合わせた型枠で成形されている。
その証拠に、柱の表面には、その時の板の木目が転写、刻印されている。
作品には、実物同様柱が再現されている(キャプチャA、黄色の円内)。
この真っ直ぐな柱を、作者は、Technicのチューブを使って表現している。

〈図@〉
美術館柱.jpg

これはかなり使える表現である。
但し、注意しなければならないのは、チューブの大きさ。
このチューブは、専ら横にして使うことが多く、
本来、長さ2ポッチ相当のパーツである。
これを立てて使った場合は、
1と2/3ブロック分(または、プレート5枚分)の高さと等しくなる(図A左参照)。
このことを知った上で応用すべきだろう。

利点としては、表面に極力無駄な凹凸が生じない点。
この柱と同じ高さのものを円筒ブロックやラウンドプレートで積分すると、
図Aの右のように、表面の線のガタガタな柱となってしまう。
近代建築のような、ソリッドな見た目の建物の造形には向かない仕上がりとなる。
欠点は、このチューブの真ん中には一カ所スリットが入っている点。
何かの拍子に詰まったペグを取り除くためか、
子供の誤嚥事故防止のためか理由は判らないが、
ともかくこのスリットが意外に目立つ。
事によると見た目に汚いので、極力見えないよう工夫して配置する必要がある。

〈図A〉
美術館柱2b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

続いていよいよ2階部分。
また一つ驚いたこととして、
この2階部分、全部プレートの天地をひっくり返して作っていること。
これには全く気がつかなかった。

〈キャプチャB〉
大澤動画6.jpg

少し巻き戻してみて、床の仕組みが判り、また驚く。
一瞬、ちらりとしか映っていないため見落としていたが、
彼の左手にあるのが2階床のパーツの一部である。
よく見ると、縁に白のL型パネルを回していることが判る。

〈キャプチャC〉
大澤動画5.jpg

大雑把な作図だが、およそこんな感じで作っていたのだろう。

〈図B〉
美術館柱2階床1.jpg

天地をひっくり返したものを先の柱に合わせると、
およそ以下のような感じになる。

〈図C〉
美術館柱2階床3.jpg
〈図D〉
美術館柱2階床2.jpg

なかなか使う機会のなさそうな工法だが、
知っておいて損はない。
いずれ何処かのタイミングで使ってやろう。

     ★ ★ ★ ★ ★

2階外壁の一部が見える。
2x4ブラケットを使っていた点は正解。
しかし、ブラケットの使用が思った以上に少ない。
どうやって工作したのか気になるところだ。

〈キャプチャD〉
大澤動画7.jpg

外壁を固定する側面ポッチ付ブロックが見える(キャプチャE赤色の円内)。
それで止めていたのか!

〈キャプチャE〉
大澤動画8.jpg

4隅に外壁を固定する柱が立ち始める(キャプチャF、黄色の円内参照)。
ここで、ようやく外壁パネルの作り方が判る(キャプチャF、赤色の円内参照)。

〈キャプチャF〉
大澤動画9.jpg

解析して漸く判ったが、実は両側ポッチ付クリップを使っていた。
全く考えになかった方法だ(GIF@参照)。
この方法で組むと、意外にシンプルにまとまることが判る。
上手いこと考えたものである。

〈GIF@〉
壁組み立て6.gif

下のパーツの継ぎ目を跨ぐ形で黒いプレートを張って補強する。
そういえば、二階展示室の床は黒いリノリウム張りだったから、
それも兼ねているのだろう。

〈キャプチャG〉
大澤動画10.jpg

この窓の裏に壁の段差を隠したと考えたが、
隠すどころかそこが壁と窓枠の取り付け位置だったようである。
巻き戻して気がついたが、実は一部の壁の末端にジャンパープレートが付いていて、
それが窓枠の裏でくっつくようになっていた(キャプチャH、黄色の円内。画像@はその部分を拡大したもの)。

〈キャプチャH〉
大澤動画13.jpg

〈画像@〉
大澤動画13b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

外壁パネル最上層。
組み方がよく判らなかった部分だが、この部分は動画でもやはりよく判らなかった。
ただ言えることとしては、外壁を支えるコーナーの柱の延長線上にあるということだけだ。

〈キャプチャI〉
大澤動画11.jpg

〈画像A〉
大澤動画11b.jpg

壁の角の断面が見える。綺麗な断面である。柱と綺麗に一体になっているのが判る。
実際の展示室さながら、しっかりとした白い内壁を作る。
ここも実物通りだ。

〈キャプチャJ〉
大澤動画12.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

本編動画は、この後、屋上部分の造作に進むが、ここでは割愛する。
当たり前だが、かなりこだわりを持って作っていたことが判る。
いい仕事、というやつだ。
建物の外見から考え得る工法を想像したものの、今回は美事に裏切られたわけだが、
それもまた面白いものだ。
思いもかけない工法を知るというのは、より上手くなるための一歩でもある。
未解決の部分が残るものの、実にいい勉強になった。
その部分はまた追々考えよう。
…ということで。この項、お仕舞い。

最後に、
レゴランド・ディスカバリー・センター東京のマスタービルダーを務めていた
本作の作者・大澤よしひろ氏が、本年4月20日を以て同職を退任された。
「ただのレゴ好きに戻る」のだとか。
今後のご活躍をお祈りします。
お疲れ様でした。

註※ 図、画像、キャプチャ、GIFの制作一切は筆者による。


posted by KM at 12:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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