2018年04月19日

レゴ世界遺産展探訪7−1

★ 日本編 7−1 ★


9.
『ル・コルビュジエの建築作品
−近代建築運動への顕著な貢献−』より
国立西洋美術館
作:大澤よしひろ

〈写真@〉
西洋美術館本館2.jpg

〈写真A〉
西洋美術館本館1.jpg

フランスを代表する近代建築の世界的大家ル・コルビュジエ、
1959年(昭和34年)の作品。
第二次大戦後、フランス政府により敵国資産として接収された
実業家・松方幸次郎蒐集の美術品、通称〈松方コレクション〉の返還に際し、
その展示・保管のための施設として東京・上野公園内に建設された美術館である。

この建物は、〈無限成長建築〉をコンセプトにしており、
建物の中央、19世紀ホールから渦状に展示室が広がり、
将来的には外へ外へと拡張できるよう考案されている。

筆者は関西在住だが東京とは縁が深く、この西洋美術館も馴染みの場所なのだが、
如何せん収蔵作品や特別展がメイン故、建築美に気づいたのは比較的最近のことである。
世界遺産登録され、建物に光が当たったことで、
ようやくこの建物の真価に気づいた次第だ。
不勉強で恥ずかしい話である。

     ★ ★ ★ ★ ★

作品を見てみよう。

〈写真B〉
西洋美術館.jpg

まず気になったのが、実は建物そのものより阿弥陀状の床面である。
仕切りの線の厚みは縦も横も横にしたプレート1枚分。
これを原則として、それぞれ幅の異なる不規則な矩形を作って充填するというのは、
なかなか手間だ。計算が面倒臭い。

〈写真C〉
西洋美術館4.jpg

しかしこんな線があったかな、と疑問に思う。
建物の前庭には、ロダンの『地獄の門』や『カレーの市民』などといった
大型の彫刻作品が展示されているため、どうしてもそちらに気を取られてしまう。
さんざん出入りしているわりに、床がどんなだったかいまいち記憶にない。

先日、久しぶりに同館を訪ねた際、床面をこの目で確認し、
阿弥陀に線が引かれていることを知り、ああこれを再現したのかと納得する。

〈写真D〉
西洋美術館本館6.jpg

〈写真E〉
西洋美術館本館6b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

続いて、建物屋上。

〈写真F〉
西洋美術館2.jpg

ちょっと違和感を覚えたのは、
中央の巨大な三角錐体の明かり取りの窓。
多少表現の誇張はあってもいいかもしれないが、
それにしても背が高すぎではないのかと思った。

もっとも、プラ板を切り出して作る建築模型とは違い、
レゴの場合はパーツの形状に縛られるため、
特異な形状の再現には無理が伴う。
こうした三角錐体は、簡単そうに見えて、
理想どおりのサイズには作りにくいであろう形状故、
妥協せざるを得なかったのかなとも考えられる。

〈写真G〉
西洋美術館5.jpg

〈写真H〉
西洋美術館6.jpg

ちなみに、
この明かり取りの窓の真下は、建物の中心部、19世紀ホールである。
ここは、常設展示室入ってすぐのところで、
ロダンの彫刻が数体展示されているきりの広々とした吹き抜けの空間である。
以下の写真は、内部から窓の開口部を見上げた際のものである(写真参照)。
生憎ながら、屋上からの写真はない。

〈写真I〉
西洋美術館本館7.jpg

〈写真J〉
西洋美術館本館8.jpg

先の三角錐体の明かり取りの窓の周りには、
逆卍形に、本館二階展示室を照らす明かり取りの窓が配置されている。
M字形の断面を持つ一直線の建屋がそれである。
この窓は、サッシがズラリと並ぶ展示室中二階の照明用空中廊下の屋根部分に当たる(写真K参照)。
かつては、屋上の窓から差し込んだ光がこのガラスの廊下を通り、
室内を広く明るく照らしていたという。

なお現在、この窓は使用されていない。
季節や天候に左右されるため、室内を照らすに十分な光量を確保することが難しく、
また、太陽光に含まれる光が美術品の劣化を招くため不適当と判断されたからだ。
今は、廊下に蛍光灯を並べ、その代わりとしている。

〈写真K〉二階展示室の様子。
西洋美術館本館9.jpg

この部分の作りはなかなか面白い(写真L参照)。
屋根は、1x3白のテクニックアームで再現。滑らかで美しい。
車のドアパーツを用いた屋根末端の処理の仕方が面白い。
ああこんな使い方があったかと驚かされる。
押しつぶされた一斤の食パンのような独特の形状がよく表されており、
さすが、マスタービルダーの仕事と感心する。

〈写真K〉
西洋美術館7.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

次回は、外装について。
実にトリッキーな構造で、かなり謎の多い造作となっている。
じっくり解析してみたい。

続く。

註※ 写真@〜Lは筆者が撮影した。


posted by KM at 18:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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