2018年04月25日

レゴ世界遺産展探訪8

★ 出オチ編 ★

重い項目が続いたので、今回は軽めの内容で。

例えば世界的な美術コレクションの特別展でも、
退屈な作品というのはどうしても一つ二つあるものだ。
当然、傑作揃いの世界遺産展といえども、
全部が全部見所というわけにはいかない。
事実、視界に入った瞬間、「ふーん」と、
何ら掘り下げられることもなく素通りされていた作品もある。
まさに出オチのような作品だ。
しかし、流して見るだけでは勿体ない。
今回は、そうしたものを集めて掘り下げてみた。
なお、出オチだなと感じたのは、飽くまで私個人の感想である。

★ ★ ★ ★ ★

10.
『富士山−信仰の対象と芸術の源泉』より
富士山
作:ルーカス・フィルマン

〈画像@〉
Mount Fuji from Hotel Mt Fuji 1995-2-7
(画像引用元=Wikipedia日本語版『富士山』より、ウィキメディア経由)
※ 画像クリックで引用元に遷移。

標高3776メートル。
言わずと知れた日本の最高峰。
富士山は当然ながら自然地形であるが、
世界遺産としては文化遺産での登録である。
山岳信仰の聖地として、また富嶽三十六景に代表される浮世絵などの絵画作品、
古くは『竹取物語』に見られるように日本文学の主要な題材になるなど、
文化・芸術に幅広い影響を与えたことが評価され登録となった。

〈写真@〉
富士山2.jpg

見た瞬間、富士山と判る。
ただそれ故に、新幹線から見る富士山ぐらいの勢いで流して見ている人多数で、
作った苦労が殆ど報われていないと思った作品。
もっとも、また海外なら反応が違うのかもしれないが。

そういえば、ミニフィグサイズのジオラマ向けに山を組むことはあっても、
山岳地形の立体模型として組む例というのは、殆ど知らない。

プレートの単純積分で作っているだけで、特にトリッキーなところは特にない。
技術的な面ではこれといったものはないが、
ただ制作までの準備をどうしたのかは気になるところだ。

「富士山を描いて下さい」というと、殆どの人は容易く描けるに違いない。
それらしい感じで台形を描けば、大概似るものだ。
平面的に見た稜線はそれぐらい単純であるが、
しかし、これを三次元できちんと捉えるとなると容易な話ではない。
自然地形だから当たり前だが、思った以上に複雑な形状をしている。

例えば、リアルに作るなら、国土地理院発行の等高線図を階層ごとにスライスし、
それをもとにLDD、或いは専用方眼紙で作図するといった下準備が考えられる。
そうやったのだろうか?

しかし、もしそうなら、大沢崩れや宝永火口といった
ダイナミックな地形的特徴が顕著に描かれてもいいはずだが、そういった感じはない。
厳冬期の雪に埋もれたという設定なのか?
そうでないとすると、空撮画像などを見ながらフリーハンドでやったのか?
過程を想像するのも面白い。

〈写真A〉
富士山3.jpg

いずれにせよ、写真を舐めるように見ながら細かく色を置いただろうことは
想像に難くない。
こうした配色のセンスは見所だろう。
気の遠くなるような細かさだが、これを制作期間6日で片付けたそうである。
それは凄い。

〈写真B〉
富士山1.jpg

★ ★ ★ ★ ★

11.
『メンフィスとその墓地遺跡
-ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯』より
カフラー王のピラミッド
作:渡瀬達生

〈画像A〉
Egypt.Giza.Sphinx.02
(画像引用元=Wikipedia日本語版
『カフラー王のピラミッド』より、ウィキメディア経由)
※ 画像クリックで引用元に遷移。

エジプト、ギーザは、ナイル川中流域西岸、
首都カイロの西南20キロに位置する都市である。
カフラー王のピラミッドは、
この砂漠に建つ三つの巨大なピラミッドの中の一つである。
カフラー王は、古代エジプト、
古王国時代第4王朝(紀元前2500年頃)のファラオであるが、
ヘロドトスの記述により、
性格が残虐であったという否定的な事実以外よく知られていない。
ピラミッドの近くに建つ大スフィンクス像は、彼が建てたとされる。

タン一色、パーツの山。
多くの人にとっては、遠目に一目瞭然、ピラミッド故、
もうそれだけでお腹いっぱいの筈。
近くで細かく見ると、ものすごく凝った作業をしているのだが、
多分、一般にはその凄さが全く伝わっていないように思う。

〈写真C〉
ピラミッド1.jpg

この作品の凄さは、細かなパーツの生み出す複雑な陰翳にある。
数千年の風雨により削られ、または崩れた荒々しい巨石の肌を、
様々なパーツを用い、細かく調子を変えながら作っている。

〈写真D〉
ピラミッド2.jpg

各段の面の形状はランダム。
45度傾斜ブロック、逆傾斜ブロック、円筒ブロック、
ジャンパープレートによる半ポッチずらしての積分など、実に細かい。
これに光を当てると、明暗にばらつきのある、ある種独特のノイズを含む陰翳が生まれる。

〈写真E〉
ピラミッド6.jpg

この作品の鑑賞のポイントは、全体の形もさることながら、
そうした陰翳の美を深く愉しむことが出来るか否かにかかっているように思う。
ある種、谷崎潤一郎『陰翳礼賛』の世界だ。

〈写真F〉
ピラミッド4.jpg

〈写真G〉
ピラミッド7.jpg

個人的な感想として、
この会場の中で、実は一番工作の難しい作品がこのピラミッドなのではないかと思う。
大きく見れば、そもそも特に色味のない単調な形状である。面白みは何処にもない。
そこに極めてシンプルな方法でリアルな美を与えるというのは、
生半可な姿勢では出来ないことのように感じるからだ。
それが素通りされてしまっているのは、実に惜しい。

★ ★ ★ ★ ★

12.
『マチュ・ピチュの歴史保護区』
作:伊藤剛、かたおかしんご
監修:直江和由

〈画像B〉
80 - Machu Picchu - Juin 2009 - edit
(画像引用元=Wikipedia日本語版『マチュ・ピチュ』より、ウィキメディア経由)
※ 画像クリックで引用元に遷移。

ペルー、アンデス山脈、標高2430メートルに位置する
15世紀、インカ帝国時代の都市遺跡。
アンデス文明は無文字文明であるため、マチュピチュの都市機能や
成立の目的など不明な点が多く、依然として、謎に包まれた遺跡である。

世界史の教科書や資料集の写真でお馴染みの風景。
雲海の竹田城の人気沸騰以降、似たような光景をして〈OOのマチュピチュ〉と喩える機会も増えたことから、その知名度は高い。
だが、どんな遺跡か代表的な建造物を答えよ、と問われると、
全く判らない場所である。
それ故か、全体を見て「ああ、あそこか」となるが、
それ以上は判らないため、ざっと見てスルーする人が多いように思う。

…いや、もっとも、それ以前に造形が通好みすぎる。
居酒屋のつきだしに鮒鮨の古漬けを出されたようなもので、
これに食いつくのはしんどいかもしれない(作者の方、ごめんなさい)。

〈写真H〉
マチュピチュ.jpg

この作品、関心を持ってきちんと覗き込まないと、
何をやったのかよく判らない。
よく覗き込むと、石組みだけになった町並みの廃墟が見える。
ポチスロは、住居の三角屋根の名残を表しているのだろう。

〈写真I〉
マチュピチュ2.jpg

作品奧に聳えるのは、ワイナ・ピチュ(現地語で『若い峰』の意)と呼ばれる山である。
よく見ないと気づかないが、それに続く山並みに沢山木が植わっている。
以下の写真の黄色の円内がそれだ。

〈写真J〉
マチュピチュ3b.jpg

マイクロビルドに応用できそうな木である。
作り方は簡単。
緑のジャンパープレートを数枚適当に重ねて、ランダムに捻り、
一番上に緑の1x1ラウンドプレートを積む。
木の幹は、新茶1x1円筒ブロックで、
これを先のジャンパープレートの真ん中に差し込めば出来上がりだ。

〈図@〉
マチュピチュ木.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

今回のまとめとしては、
出オチだなと思っても、侮ってはいけないということ。
普通の話だが大事なことである。
しっかり覗くと色んな技が隠れているので、
より上手くなりたい人はしっかり鑑賞しましょう。
ということで、この項はおしまい。

次回に続く。

註※ 写真@〜Jは筆者が撮影した。図@は筆者が作図した。


posted by KM at 12:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月24日

レゴ世界遺産展探訪7−4

★ 日本編 7−4 ★
前回の続き。

では、答え合わせ。
大澤氏が勤める『レゴランド・ディスカバリー・センター東京』のFacebookページに、
『世界遺産・国立西洋美術館ができるまで』という動画が掲載されている。
ここで、一通り内部構造を見ることが出来る。
今回は、この動画を解析しながら考える。

〈キャプチャ@〉
大澤動画1.jpg
(引用元=Legoland Discovery Center Tokyo(レゴランド・ディスカバリー・センター/東京)のFacebookページより、動画『世界遺産・国立西洋美術館ができるまで』)(※ 動画をご覧になりたい方は、上記引用元をクリックまたはタップで遷移。)

但し、タイムラプス撮影された動画なので、1秒もせずに手順がドンドン進んでいく。
個人的に細かく解析したいという方は、パソコンで画質を1080pで固定し、
こまめに停止ボタンを押しながら観ることをお勧めする。

     ★ ★ ★ ★ ★

まず驚いたのが、実は内部をちゃんと作っていたということ。
真ん中当たりの四角い空間が常設展示室一階部分、19世紀ホール。
画面右側の空間がカフェレストラン・すいれん。
常設展示室の外周は実際、黒い壁で、青い部分はトイレのドアだ。

〈キャプチャA〉
大澤動画4b.jpg

美術館の中には鉄筋コンクリートの正円柱が無数にある。
これらの柱は、いずれも姫小松の板を合わせた型枠で成形されている。
その証拠に、柱の表面には、その時の板の木目が転写、刻印されている。
作品には、実物同様柱が再現されている(キャプチャA、黄色の円内)。
この真っ直ぐな柱を、作者は、Technicのチューブを使って表現している。

〈図@〉
美術館柱.jpg

これはかなり使える表現である。
但し、注意しなければならないのは、チューブの大きさ。
このチューブは、専ら横にして使うことが多く、
本来、長さ2ポッチ相当のパーツである。
これを立てて使った場合は、
1と2/3ブロック分(または、プレート5枚分)の高さと等しくなる(図A左参照)。
このことを知った上で応用すべきだろう。

利点としては、表面に極力無駄な凹凸が生じない点。
この柱と同じ高さのものを円筒ブロックやラウンドプレートで積分すると、
図Aの右のように、表面の線のガタガタな柱となってしまう。
近代建築のような、ソリッドな見た目の建物の造形には向かない仕上がりとなる。
欠点は、このチューブの真ん中には一カ所スリットが入っている点。
何かの拍子に詰まったペグを取り除くためか、
子供の誤嚥事故防止のためか理由は判らないが、
ともかくこのスリットが意外に目立つ。
事によると見た目に汚いので、極力見えないよう工夫して配置する必要がある。

〈図A〉
美術館柱2b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

続いていよいよ2階部分。
また一つ驚いたこととして、
この2階部分、全部プレートの天地をひっくり返して作っていること。
これには全く気がつかなかった。

〈キャプチャB〉
大澤動画6.jpg

少し巻き戻してみて、床の仕組みが判り、また驚く。
一瞬、ちらりとしか映っていないため見落としていたが、
彼の左手にあるのが2階床のパーツの一部である。
よく見ると、縁に白のL型パネルを回していることが判る。

〈キャプチャC〉
大澤動画5.jpg

大雑把な作図だが、およそこんな感じで作っていたのだろう。

〈図B〉
美術館柱2階床1.jpg

天地をひっくり返したものを先の柱に合わせると、
およそ以下のような感じになる。

〈図C〉
美術館柱2階床3.jpg
〈図D〉
美術館柱2階床2.jpg

なかなか使う機会のなさそうな工法だが、
知っておいて損はない。
いずれ何処かのタイミングで使ってやろう。

     ★ ★ ★ ★ ★

2階外壁の一部が見える。
2x4ブラケットを使っていた点は正解。
しかし、ブラケットの使用が思った以上に少ない。
どうやって工作したのか気になるところだ。

〈キャプチャD〉
大澤動画7.jpg

外壁を固定する側面ポッチ付ブロックが見える(キャプチャE赤色の円内)。
それで止めていたのか!

〈キャプチャE〉
大澤動画8.jpg

4隅に外壁を固定する柱が立ち始める(キャプチャF、黄色の円内参照)。
ここで、ようやく外壁パネルの作り方が判る(キャプチャF、赤色の円内参照)。

〈キャプチャF〉
大澤動画9.jpg

解析して漸く判ったが、実は両側ポッチ付クリップを使っていた。
全く考えになかった方法だ(GIF@参照)。
この方法で組むと、意外にシンプルにまとまることが判る。
上手いこと考えたものである。

〈GIF@〉
壁組み立て6.gif

下のパーツの継ぎ目を跨ぐ形で黒いプレートを張って補強する。
そういえば、二階展示室の床は黒いリノリウム張りだったから、
それも兼ねているのだろう。

〈キャプチャG〉
大澤動画10.jpg

この窓の裏に壁の段差を隠したと考えたが、
隠すどころかそこが壁と窓枠の取り付け位置だったようである。
巻き戻して気がついたが、実は一部の壁の末端にジャンパープレートが付いていて、
それが窓枠の裏でくっつくようになっていた(キャプチャH、黄色の円内。画像@はその部分を拡大したもの)。

〈キャプチャH〉
大澤動画13.jpg

〈画像@〉
大澤動画13b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

外壁パネル最上層。
組み方がよく判らなかった部分だが、この部分は動画でもやはりよく判らなかった。
ただ言えることとしては、外壁を支えるコーナーの柱の延長線上にあるということだけだ。

〈キャプチャI〉
大澤動画11.jpg

〈画像A〉
大澤動画11b.jpg

壁の角の断面が見える。綺麗な断面である。柱と綺麗に一体になっているのが判る。
実際の展示室さながら、しっかりとした白い内壁を作る。
ここも実物通りだ。

〈キャプチャJ〉
大澤動画12.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

本編動画は、この後、屋上部分の造作に進むが、ここでは割愛する。
当たり前だが、かなりこだわりを持って作っていたことが判る。
いい仕事、というやつだ。
建物の外見から考え得る工法を想像したものの、今回は美事に裏切られたわけだが、
それもまた面白いものだ。
思いもかけない工法を知るというのは、より上手くなるための一歩でもある。
未解決の部分が残るものの、実にいい勉強になった。
その部分はまた追々考えよう。
…ということで。この項、お仕舞い。

最後に、
レゴランド・ディスカバリー・センター東京のマスタービルダーを務めていた
本作の作者・大澤よしひろ氏が、本年4月20日を以て同職を退任された。
「ただのレゴ好きに戻る」のだとか。
今後のご活躍をお祈りします。
お疲れ様でした。

註※ 図、画像、キャプチャ、GIFの制作一切は筆者による。
posted by KM at 12:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

レゴ世界遺産展探訪7−3

★ 日本編 7−3 ★

前回の続き。

まず、今回の内容は、建物の見た目から考え得る工法を個人的に検討したもので、
あくまで筆者の推論である。
故に、
作者である大澤氏がこのとおりにやったという保証は全くない。

     ★ ★ ★ ★ ★

〈写真@〉
西洋美術館9.jpg

外壁パネルをどう再現したか?
与えられている情報から、自分なりにどうすれば可能なのか検討した結果、
ひとまず以下のような結論に達した。
飽くまで部分サンプルだが、見た目だけはほぼ同じに出来たと思う。

〈図@〉
PC壁組サンプル1a.jpg

今回使用したのは、以下のブラケットや側面ポッチ付ブロック。
半ポッチないしそれ以下の数値で細かくタイルの位置を調整する方法があるとすれば、
ブラケット類の組み合わせでやるしかないだろうという判断からだ。

〈図A〉
ブラケット類サンプルb.jpg

これらを利用して、まずは一段組んでみる。
試しにやってみたのは、全部で3層ある1x4タイルの層のうちの1つ。
やった結果が、GIF@だ。
説明するのが判りづらいので、動画で見てもらった方が早い。

〈GIF@〉
壁組み立て1.gif

ひとまず一つやってみて、こういう手法なら可能と判断出来たので、
あとはこれを応用して、残りの2層を考える。
結果が、以下のGIFだ。長いので三分割している(GIFA、B、C参照)。

〈GIFA〉
壁組み立て2.gif

〈GIFB〉
壁組み立て3.gif

〈GIFC〉
壁組み立て4.gif

これで1x4タイル部分は出来た。
問題は、最上層、1x3タイルの部分。
ここがよく判らない。

建物正面の右端上の壁が一部めくれ上がっている。
プレートやタイルで大きな壁を作ると、どうしても板が反ってきてしまうものだが、
どうやらその症状が出ているらしい。
もっともそれが一つのヒントでもあることに間違いない(写真の黄色の円内)。

〈写真A〉
西洋美術館3b.jpg

黄色の円内の部分だが、
2枚分のプレートと1枚のタイルが横向きに積まれていることが判る。

〈写真B〉
黄色の円内を拡大したもの。右は、接合したパーツの境界線をなぞったもの。
西洋美術館14.jpg

3つのパーツのうち、
右端は、切れ目がないことからnx3(nは、1か2)のプレート。
左端も、切れ目がないことから1x3のタイルであることは間違いない。
問題は真ん中のパーツ。
パーツの境界線から察するに、どうやら、3幅を1対2に分けているらしい。
何故分けたのか? なにかしら合理的な理由がありそうだが、判然としない。

とりあえずやりながら考えてみよう。
ということで、その結果がGIFD。
なお、このGIFは、以下の変更を加えたところからスタートする。

〈図B〉黄色円内。ライムグリーンの1x2プレートを、黄色の1x6プレートに変更。
PC壁組サンプル11.jpg

〈GIFD〉3幅を1対2に分けた合理的な説明がこれでついたか?…
壁組み立て5.gif

これに、新灰のプレートやタイルで作った屋上の縁を載せると完成。

〈図@〉再掲。
PC壁組サンプル1a.jpg

とりあえず、こういうやり方があるということは判ったが、
しかし、この方法だと端がピタリと止まるため、写真のように、
タイルの端がめくれ上がることはない。
多分、違うやり方でやったのだろう。
とはいえ、どうやったか推測するのはこれ以上判らないので、
ここはこのままとしよう。

     ★ ★ ★ ★ ★

未解決の部分は多いが、ひとまず図@のコーナーを二つ組み合わせて、
建物の正面を仮ながら作ってみる。
以下の図が、それである。なお、長さは現物と異なる。

〈図C〉斜めから見たもの。
西洋美術館壁組サンプル13.png

〈図D〉真正面から見たもの。
西洋美術館壁組サンプル14.png

やってみて判ったこととして、4層のタイル壁のうち、
最上層を除く3層には、プレート1枚分の隙間が必ず出来るということだ。

横組みの基礎をおさらいすると、
ブラケットにプレート2枚を足したものは、1ポッチ分の厚さに相当する。
ブラケットの前垂れ部分は、0.5プレート厚相当である。

〈図E〉
横組み基礎1.jpg

〈図F〉
横組み基礎2.jpg

また、プレート5枚分で2ポッチ分の厚さに相当する。

〈図G〉
横組み基礎3.jpg

〈図H〉
横組み基礎4.jpg

図に、プレートまたはブラケット部分を着色したものが以下の図Iだが、
最上層は、合計でプレート5枚分(境界を明示するため水色と赤で塗り分け)、
即ち2ポッチにきちんと収まるため隙間が出来ない。
しかし、下の3層は、タイルとブラケットだけでそもそもプレート1枚分足らないのである。

〈図I〉
西洋美術館壁組サンプル15.png

ということは、どこかでこの足らない部分を隠して誤魔化したと思われる。
おそらくそれは2階の窓の部分ではないのか?

2階の四方各面には、大きな窓が一つ設けられている。
これは将来の改装次第では、出入り口としても使用できるよう設えられたものである。
事実、本館2階正面の窓は出入り口としての機能を有している。
もともと、出口という想定で作られたらしい。
もっとも使われたことは一度もない。出入口は1階正面のみである。

この作品も同様に、各面に窓が設けられている。
以下の写真は、正面2階の窓の部分を拡大したものである。

〈写真C〉
西洋美術館12.jpg

窓の縁の部分をよくみるとその裏に壁の一部を隠していることが判る。
多分、反対側も縁の裏に隠し、見えなくしたのだろう。
おそらく、他の三方各面も同様に処理したものと考えられる。

     ★ ★ ★ ★ ★

…と、まあここまで検討したうえで、
答え合わせをしてみたわけだが、正直、驚いた。
結論から言うと8割方違っている!
特に2階部分は、斜め上を行く全く想像もしない作りになっていた。
これは面白い!

次回、答え合わせ編。

註※ 写真、GIF 、図は全て筆者による。
posted by KM at 08:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。