2018年03月30日

レゴ世界遺産展探訪5−2

★ 日本編 5−2 ★

続き、
前回書いたとおり、この石垣の作り方には驚かされた。
ぱっと見たとき、大体のものは何となくだが作り方の想像が付くのだが、
これはどうやったのかすぐに答えが出せなかった。

横組みでやっていることは判るのだが、
どの面も綺麗に1プレート厚(部分的に2プレート厚)で
末広がりの段差を作るにはどうしたらいいのか?

簡単そうな問題だが、判りそうで判らなかった。

〈写真@〉
姫路城12b.jpg
〈写真A〉
姫路城12c.jpg
〈写真B〉
姫路城14.jpg
〈写真C〉
姫路城16.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

筆者は作者の柳氏にお会いしたことがないのだが、SNS上では付き合いがある。
どう作ったか正確な答えを訊くこともやれば出来るのだろうが、
それをやってしまうと意味がない。
基本、技は盗むものである。
以下に提示するのは、私なりに作り方を考えた結果である。
おそらくこういう考え方でやったのだろう。

ひとまず、五段で作ってみた。
その結果が〈図@〉である。
便宜上、これを『基本の石垣』と呼ぶ。
〈図@〉
石垣4b.jpg

作り方は、

手順1.
立てたときに急激に反り上がるような曲面が出来るよう、
ブロックとプレートを積分する。それを立てたものが〈図A〉である。
〈図A〉
石垣1.jpg

手順2.
先の面に濃灰またはタンの1x1タイルをランダムに貼り付けて、一面完成。
続いて、側面ポッチ部分にプレートを貼り付け…
〈図B〉
石垣2.jpg

手順3.
ブロックやプレートを積み、曲面の土台を作る。
この時、先に完成した面と傾きが同じになるよう調整しながら積む。
手順2同様、1x1タイルを適当に敷き詰めたら、二面目完成。
〈図C〉
石垣3.jpg

手順4.
1x4側面ポッチ付ブロックを任意の位置に貼り付け、
天守閣等建物部分の土台を貼り付ける。これで基本の石垣が一つ完成する。
〈図D〉
石垣4.jpg

仮に、基本の石垣を二つつなげると以下のような状態になる(図E参照)。
図は上から、表面、俯瞰で見た状態、裏側の状態を表す。
〈図E〉
石垣5.jpg

翻って、実際の作品。
石垣の面同士が交差することで出来る谷の部分を比べると、
見てくれは同じになったように思う。
〈写真D〉
姫路城15.jpg
〈写真E〉
姫路城15b.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

基本の石垣が完成したからと言って、それで話は終わらない。
基本ということは発展・応用があるということだ。
当然、石垣は、建物部分の土台として一周ぐるりとめぐらされている。
〈写真F〉
姫路城1b.jpg
〈写真G〉
姫路城1.jpg

しかし、一周巡らすとなると、必ず以下のような問題が何処かで起きる(図N参照)。
基本の石垣は、片方の断面が真っ平らで、一方がガタガタである。
石垣の繋ぎ合わせ方次第では、以下のような隙間が出来ることになる。
〈図F〉
石垣14.jpg

当然、こうした隙間は埋めなければならないと具合が悪い。
ではどうするか?
ひとまず、やりかたは二つある。

手順1.
ガタガタの面の石垣の各段を全て5プレート厚に調整。
そのうえで、側面ポッチブロックを各段に貼り付ける。
5プレート厚は、ブロック2ポッチ分相当である。
〈図G〉
石垣9.jpg

手順2.
先の側面ポッチブロックにプレートやブロックを貼り付け、
最後に各段にタイルを貼り付けて平らに均す。
足した分は、濃灰とタン以外の色で着色している。
〈図H〉
石垣15.jpg

手順3.
組み合わせると、ピタリと埋まる(図I参照)。
足した部分をひとまず全部タンに直したものが図Jである。
〈図I〉
石垣16.jpg
〈図J〉
石垣17.jpg

別解。
最も単純なのは、基本の石垣をリフレクトしたものを作ることである。
ブロックの赤い方が、基本の石垣。青い方が、それをリフレクトしたものである。
以下、便宜上、赤の石垣を『メス』、青の石垣を『オス』と呼ぶ。
〈図K〉
石垣6.jpg

無論、平らな面同士はピタリと繋がる。
〈図L〉
石垣7.jpg

ならば以下のように、
オス・メスそれぞれのガタガタの面同士が接した場合はどうするか?
〈図M〉
石垣8.jpg

例えば図Gのように、
メス側のガタガタの面を5プレート厚で調整、
側面ポッチブロックを貼り付けたものに、
以下のようにプレートやブロックを貼り付け、
表面にタイルを貼って平らにする。
オス側は特にいじらない。
〈図N〉
石垣10.jpg

こうして組み合わせると、ピタリと埋まる。
〈図O〉
石垣11.jpg
〈図P〉裏側の状態。
石垣12.jpg
〈図Q〉埋めた部分をタンで塗り直すとこうなる。
石垣13.jpg

おそらく、こういった感じで石垣を成形したのだろう。
実際は、上部の荷重に耐えられるよう、
もっと支えの壁を厚くしたり柱を足したりして頑丈に作ったはずである。
今回その点は割愛している。
しかし、実に手が込んでいる。
作図してみて、その凄さを実感する。

     ★ ★ ★ ★ ★

蛇足ながら最後に。
世界遺産展から話はずれるが、
「どうすれば上手く作れるようになりますか?」
以前、私に向けられたこの難問にどう答えるか?

とにかく他人の作品をよく見て、
どう組んだのか自分の頭でギリギリまでよく考えましょう!


というのも一つの回答として有効だろう。
およそ解決方法に目鼻が付けば、後は如何様にも出来る。
作者と全く同じくすることは出来ないにしても、
それに限りなく似たものを作ることは出来るはずである。
そういう訓練も大事なのではないかと筆者は思う。

次回に続く。

註※ 写真@〜Gは筆者が撮影した。
また、図@〜Qは、LDDを用い全て筆者が作図した。


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2018年03月29日

レゴ世界遺産展探訪5−1

★ 日本編 5−1 ★

前回の続き、

★ ★ ★ ★ ★

7.
姫路城
作:柳昌宏

〈画像〉
Himeji castle in may 2015
(画像引用元=Wikipedia日本語版『姫路城』より、ウィキメディア経由)
※ 画像クリックで引用元に遷移。

文字通り、兵庫県姫路市に建つ。
築城は南北朝時代、貞和2年(1346年)まで遡る。
最初の築城主は、美作国守護・赤松貞範。
当初は、実戦型の平山城で今のような姿ではなかった。
現在の形に整ったのは17世紀のこと。初代姫路藩主、池田輝政公の大改修による。
入母屋破風、千鳥破風、比翼入母屋破風、軒唐破風と、
社寺建築に見られるあらゆる屋根の作りが取り入れられた壮麗優美な城である。
筆者個人としては、非常に懐かしい建物である。
幼少期の一時期、姫路に住んでおり、毎日この城を見て過ごしたためだ。

     ★ ★ ★ ★ ★

前回の首里城は応用編の極みのようなもので、
初心者が参考にするにはかなりハードルが高い。
今回の姫路城は、天守など建物部分に限りオーソドックスな造りである。
屋根は濃灰のポチスロで丁寧に積分。
全体としては、非常に端正な仕上がりとなっている。
初心者が組み方の参考にするにはいいかもしれない。

〈写真@〉
姫路城1b.jpg

〈写真A〉
姫路城1.jpg

〈写真B〉
姫路城6.jpg

破風の作り方が面白い。
特に、最上層や二層目に見られる軒唐破風の作り方は面白い。
弓なりになだらかに膨らむ屋根面をレゴで作るのは難しい。
これを作者は、上手く表現している。
隅棟の作り方などよく見ておくといいだろう。

〈写真C〉
姫路城3.jpg

〈写真D〉
姫路城7.jpg

〈写真E〉
姫路城8.jpg

〈写真F〉
姫路城5.jpg

〈写真G〉
姫路城9.jpg

〈写真H〉
姫路城10.jpg

〈写真I〉
姫路城11.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

正直なところ、私が何より驚いたのは石垣の造作である。
建物部分の造作については、特に目新しい技術があるわけではなく、
驚くところはなかったのだが、
この石垣は見入ってしまった。
何がすごいかというと、石垣は全て横組み。
その独特の傾斜は、どの面も均等に1プレート厚レベル(部分的に2プレート厚)で差を設け、
階段状に積むことで再現されている。
一見するとどう凄いのか判らないだろうが、作り方を考えるとその凄さがよく判る。
簡単そうに見えて、実はもの凄く手の込んだ造作で恐れ入る。
その点を、次回掘り下げてみたい。

続く

註※ 写真@〜Iは筆者が撮影した。
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2018年03月26日

レゴ世界遺産展探訪4−2

★ 日本編 4−2 ★

前回の続き。
今回は、首里城の建具等について。

     ★ ★ ★ ★ ★

首里城正殿側面の破風の妻面には、
妻格子(つまごうし)と呼ばれる飾りが施されている。
文字通り、妻壁に枡形の格子を隙間なく並べた装飾で、社寺や城郭などに見られるものだ。
それをこの作者は、ライトブロックの裏側を使って表現している。

〈写真@〉
首里城4.jpg

〈図@〉
妻格子1.jpg

ライトブロックの本来の使い方は、
車や鉄道車輌のライトに使うのが一般的だ。
しかし、このパーツを裏にすると、正方形に口が開いていることが判る。
この形状を生かして、建物の窓に見立てることは珍しくない。
後で取り上げるマイクロビルドでは当然のように使う技だが、
ここではこれを積んで並べて妻格子に見立てている。

〈図A〉
妻格子2.jpg

このライトブロックを使った格子の表現は、他に、
二層目の格子窓、初層下部の蔀(しとみ)などに活用されている。
蔀の作り方に関しては、前々回の金閣を参考にするのもいいだろう。
(参照=レゴ世界遺産展探訪3

首里城16.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

建具でもう一つの注目点は、正面中央の遣戸(やりど)とその上の格子窓。
まず、遣戸とは、人の出入り、換気、時に間仕切りなどの目的で建物の外周に設える引き違いの板戸のことである。
中でも、舞良子(まいらこ)と呼ばれる細い横桟を等間隔に密に組んで貼り付けたものを舞良戸(まいらど)という。寝殿造や社寺建築などによく見られる建具である。
首里城の舞良戸だが、実物はおそらく桟は黒漆、板は丹塗りと思われる。
〈画像@〉
首里城正殿キャプチャ.jpg
(画像引用元=Google Map より『首里城』

こうした線の細い桟を持つ建具をどう作るのかはなかなか悩ましい問題である。
横桟は積分で解決できるとしても、縦の細い桟は難しい。
作者はそれをこのように表現している。

〈写真A〉
首里城初層建具.jpg

多少違いはあるだろうが、およそ以下のように作ったのだろう。

〈図B〉
首里城初層建具2.jpg

真ん中の舞良戸2枚は単純積分だが、それぞれ1x3ではなく2x3で作る。
裏に側面ポッチブロック(黄色部分)を積むためである。
縦の細い桟は、2x2タイル黒をその側面ポッチに貼り付ければ完成。

左右両端の戸は、2x2バー付プレートのバーに1x1クリップ付プレートを噛ませ、
中央の戸に寄せて固定(取り付け位置は〈図B〉の黄色のクリップ参照)。
戸の下はタイルなのでポッチ同士の接続はない。
〈図B〉の左端、黄色の1x1タイルの上を見ると判るが、
横組みされた2x2タイルと接するため、両端の戸はそれぞれ1プレート分外にはみ出ることになる。
しかし、この部分は赤い円柱で隠れるため外からは見えない。

〈図C〉裏から見る。左右両端の戸を固定するクリップは下部だけでなく、上部にもあるかもしれない。
首里城初層建具3.jpg

〈図D〉完成形。
首里城初層建具1.jpg

戸の上の格子窓は、先の舞良戸とは逆で細かい縦桟が並び、間に細い横桟が一本入る。
ここは〈図E〉のように、横組みで解決する。
黄色の両側面ポッチブロックから横向きに2x2プレート赤と黒を交互に積んで並べると縦桟が出来る。

〈図E〉
首里城初層建具5.jpg

〈図F〉横桟は、横組みした部分の裏側に1x6ブロックを二つ積み、2x2タイル(青に着色した部分)を並べる。この部分が外から見ると横桟となる。
首里城初層建具6.jpg

〈図G〉完成形。
首里城初層建具4.jpg

     ★ ★ ★ ★ ★

二回に亘って連載した首里城の項は、ひとまずこれでお仕舞い。
次回に続く。

註※ 写真@Aは筆者撮影。図@〜Gは、LDDを用い筆者が作図した。
posted by KM at 08:00| Comment(0) | 作例研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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